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前ページ次ページゼロと魔砲使い 「歴史を進めたいって……そもそも歴史って、人の行動の積み重ねで、わざわざ進めないといけないものなんですか?」 その場にいた者の意見を代表するかのように、なのははジョゼフに聞いた。それに対してジョゼフは、我が意を得たりとでも言うように、喜色満面でその問いを歓迎しているようであった。 「くくく……そなたはそう思うのであろうな。そなたにとっては、それが当然であるが故に。 だがな、この世界では違うのだ。時間は積み重なっても、決して歴史は積み重ならない。 一度始祖に壊されたとはいえ、この世界は元々『変化しない箱庭』として作られているのだ。外来者による干渉無くば、永遠に昨日と同じ今日、今日と同じ明日が続く世界として、な」 「ちょっと待ってください!」 さらに続きを語ろうとしたジョゼフを、ヴィットーリオが慌てて止める。 「今、始祖によって壊された、といいましたが、それはいったいどういうことですか!」 「ふむ、まあ始祖を祀る教皇としては、確かにそこが気にもなるか」 ジョゼフは一つ頷くと、ヴィットーリオと、傍らのビダーシャルの顔を交互に見た。 「まあ、俺もここに関しては正確なことは判らなかった。だが、結果として何があったかだけは判っている。 永遠に続く世界、それを管理するエルフ。始祖は、それに反逆した。 おっと、誤解を招かないうちに言っておくが、それは教会の唱えるような崇高な人類愛に満ちた行為では無い。むしろそれとは真逆の、私欲と私怨に満ちた物だ。要は復讐に近い行為と言ってもいい。 だが結果としてそれが永遠の一日を維持するためのシステムに風穴を開けた。管理者であるエルフ達にももはや元には戻せぬほどのな。無理にでも元に戻そうとしたら、この世界そのものを最初から作り直すしかない。そしてそれはこやつらの権限を越える行為でもあった」 「貴様、なぜそれを知っている!」 どうやらこれもまた禁忌であったらしい話に、ビダーシャルが噛みつく。それに対しジョゼフは平然と言ってのけた。 「なに、そちらのエルフの里にいるこちらに興味のあるエルフの一人と、うちの使い魔が仲良くなってな。古いだけで価値のない里の骨董をいくつか手に入れただけだ。後は……まあそう言うことだ」 言外にその手の物から情報を引き出せる魔法のことを匂わせつつ、ジョゼフはくくくと笑う。ビダーシャルも憮然とした顔はそのままだが、追求の鉾を収めていた。 どうやらどこから漏れたのかが気になっていたようだ。彼が独自に入手した情報であると知って納得したらしい。 「始祖がなにを思ってエルフに反逆し、結果として歴史を動かしたかについては残念ながら判ってはいない。 教会の資料を調べれば判るのかもしれないが、さすがにそれは教皇に対する禁呪どころか自分たちすべてを破滅させる物だと判っていたようで、先の文書の中にも一切情報は無かった。 だが、その目的だけは判明している。始祖ブリミルは、聖地の奥にいる、とある人物に会いに行こうとしていたのだ。生きているかどうかはかなり怪しく、死んでいる可能性も高かった。だがもし死んでいても、その遺体を取り戻そうとしたのは確かだ。 残念ながら始祖の生前にはそれは叶わなかった。管理者たるエルフにとってもそれは最大級の禁忌であり、その阻止のためにはあらゆる制約を解き放った全力を振るうことが許されていた。 我々が過去に起こした戦争がお笑いになるほどの激しい戦いが起き、始祖の希望はその抵抗によって潰えたのだ。これは私が始祖の香炉から直接見いだした情報だ。まず間違いはあるまい」 と、そこでヴィットーリオが手を上げ、意見があることを表明した。ジョゼフもそれを見て、一旦言葉を止める。 それを確認すると、ヴィットーリオはとある提案をジョゼフに示した。 「その理由は私も知りませんでした。ですが、教皇に伝えられる『聖戦』の最終目的は、聖地にある『何よりも大事な宝』の奪還です。そして、その『宝』の真の名前は、代々の教皇にだけ伝えられています。 ジョゼフ王、今から私はその名をあえてこの場で明かそうと思います。よろしければ、王もあなたが掴んだという、『とある人物』の名を言っていただけませんか? 私の考えが正しければ、そしてあなたの調査が正しければ、その名前は一致するはずです」 「確かに。俺もおそらくは一致すると思う。よかろう。もし一致しなかったら、この場から手を引いてもかまわん。だが、そちらが正直にそれを明かす限り、そんなことはなかろうな」 そして二人は軽く握った拳を手首で振ることによってタイミングを合わせる。世紀の一瞬を確実に伝えるために、拡声の魔法を維持していた術者達が、改めて術を更新する。 そして広い戦場に、その言葉は響き渡った。 プレシア・テスタロッサ 二人の言葉には、寸毫のずれもなかった。 「やはり、彼の大賢者でしたか」 「教会でも知られていたようだな」 「ええ、『最も恐るべき異端』として伝えられる人物ですからね」 ヴィットーリオとジョゼフがそう語る脇では、ルイズがパニックになっていた。 「な、なのは、ぷ、プレシア・テスタロッサって、あ、あの人のことよね」 「はい……だとすると学院のあの写真、案外本物かもしれませんね」 なのはの頭の中では、一つの恐ろしい推測がなされていた。 異端云々はともかく、プレシアは始祖にとって最も大切な人物らしい。 かつて始祖の肖像として伝えられていた写真は、親友のフェイト・テスタロットにそっくりであった。 プレシアは娘のアリシアを復活させるのに成功しているらしい。 フェイトはアリシアのクローンである。 以上の情報が総合されると、一つの恐ろしい結論が出てしまう。 ――始祖ブリミルとは、蘇ったアリシアが成長した姿なのではないのだろうか。 もちろん、それを確定できる情報は無い。 始祖に伝わる伝承からすると、おかしな点もたくさんある。 アリシア・テスタロッサには魔法の資質がなかったらしいと言うこと。 始祖はハルケギニアに魔法をもたらした存在とされているが、その知識をどこから得たのかと言うこと。 ちょっと考えただけでもこの辺が問題になる。 プレシアは天才的な魔法技術者であり、彼女の研究を受け継いだという可能性もあるだろう。アリシア自身が天才であった可能性もある。 正解は、未だ不明。だが、可能性はある。 なのはは改めてジョゼフの言動に注目した。 「そういえばタカマチナノハ、そなたはプレシアのことを知っていたのだったな」 「はい。親友の母であり、私たちの暦で約十年ほど前に、本来決して助からない虚空の彼方へと姿を消しました」 なぜジョゼフがそれを知っているのかは考えないことにして、なのはははっきりと答える。 ジョゼフはそれを聞いて、改めて声を大にしてプレシアのことを語り始めた。 「プレシア・テスタロッサ。世人の知らぬその人物は、始祖の時代が始まる少し前、市井を旅しながら様々な知識を説いた賢人だ。 およそ世間の人からすれば不可思議な、あるいは当たり前のことを、わかりやすい言葉でそこに明確な『理』があることを教えたのだ。 貴重な、始祖の時代以前の文献に、『プレシア』の名を記した書がたくさんある。 大半は市民の覚え書きのような物で、プレシアの語った知識を忘れないように書き留めた物だった。 これはやや推測も入るのだが、先の通り、始祖の時代以前の平民は文字通りの『人形』で、常にない行動をとることも覚えていることもない。 だが、数少ない例外が『外部の人間との接触』だった。 大いなる者が作ったこの箱庭世界に訪れた外部の人間。記録によれば『冒険者』と呼称される人物と接触したときに限り、変化無き日常の枷は外れ、日々に変化が訪れる。 そしてこれは俺にも理由は分からないが、冒険者と接触した平民は、本人の能力の許す限りに於いて、その行動の記録を残そうとするらしい。 文字を書ける者は日記のようなものとして、 町の統治者は公文書として、 市井の農民はおとぎ話の原案として、 幾多の活躍が後世に伝えられているのだ。 この習性は我々にもわずかながら残っているらしくてな。かの有名な『イーヴァルディーの勇者』の物語が、無数の亜流を含めて伝わっているのもその証左のようだ」 「私たちの間では、危険な禁書なんですけどね。彼の書の叡智は確かにすばらしいが、同時にあなたのような反社会的な人間を生みかねないが故に」 そう言いつつヴィットーリオがジョゼフを睨むと、ジョゼフはまた機嫌良さそうに笑い出した。 「そう言うな。確かにあの書の叡智は『魔法』の存在を軽くしかねん。だが、あの書の叡智を『危険』と見なすその行為こそが、俺が俺を含めたこの地の人間を『人形』という根拠なんだぞ」 「なっ……それは」 虚を突かれ、ヴィットーリオが思わずうろたえた。 そこにたたみ込むジョゼフ。 「始祖が結果としてもたらしたことは、大きく分けて二つある。 一つは、表というか広く伝わる物、『魔法』を我々にもたらしたことだ。 そしてそれによる裏面として、我々は繰り返しの日々を抜け出し、新たな歴史を刻み始めたのだ。 人形であった我々の祖先に掛けられている『枷』に対して、魔法の存在はそれを緩める方向に働く。それ故、後に貴族と言われる者達は、自らの意思で行動することが可能になった。 人のためになり、人の上に君臨し、時には戦い、時には犯罪を犯す。 祖先は、人としての生き方を取り戻したのだ。 だが……その枷はまだ完全に外れたわけではない。 その証拠が、今までの歴史、そう、『六千年の停滞』だ」 そこまで言ったジョゼフは、じっとなのはの方を見つめた。 目が合ってしまい、なのはは目をそらすわけにも行かずに困惑する。 「聞こう、タカマチナノハよ」 「は、はい、なんでしょうか」 声がうわずって真っ赤になるなのは。 それを遠目に見て取ったジョゼフは、少し間を開けてから改めてなのはに聞いた。 「そなた達の生きてきた世界に於いて、六千年前と現在とでは、どれほどの差がある?」 「別物ですね」 なのはは即答した。 「さすがに文明の基礎すらろくに無かった時代は長期間変化無かったはずですけど、ゴブリン同然だった人がある程度社会を作ってからはどんどん変わっていきましたよ。 私の生まれ故郷では魔法がなかったんですけど、千年くらいは大きく変わりませんでしたけど、二百年前くらいに大きな変化があってからはものすごい勢いで変わり続けて、今だと十年単位でくるくる変わりますね。 どんどん便利な道具ができたりして、いろんなことが大きく変わってます」 「そうであろうな。そなたの言うめまぐるしい変化の時代、それはこのハルケギニアにおいては始祖の時代からわずか百年で止まってしまったのだ」 「ええっ!」 さすがになのはも驚いた。 最もなのは以外の人には、それのなにが驚きなのかよく判っていないようだった。 その様子を確かめてジョゼフは言った。 「それが未だ残る枷、このハルケギニアの人形に残る、停滞の呪いだ。さて、ここでちょっとした問いをしよう」 ジョゼフは、そう言うと自分の足下を指さした。 「この世界に於いて、初めて誕生した『フネ』は、いつ頃作られたと思う?」 その問いに対して、大半の人間は『さて』としか思えなかった。少なくともこの場にいる人々にとって、フネは生まれたときからある物だったからだ。 そんな中、自信なさげに答えたのはウェールズだった。 「少なくともアルビオンが誕生したときには当然フネがありました」 「当たり前だな。まあ、表向きの記録に残っているのでは約三千年前くらいだ。だが最古の物はブリミル歴四十年には実験用の風石船が飛行したことが記録に残っている。そしてブリミル歴百年には、今の民間用の小型船がすでに実用化されている」 その場にいたアルビオン勢の、特になのはの目が点になってしまっていた。 「その後、大型化、軍事目的の改装、豪華客船化などの大がかりな改装は行われてきているが、それらのほとんどは理論ではなく、物資や資金面での制約が解決されたことによる進歩がほとんどで、要は『金と人手さえあればいつでも可能だった』という物に過ぎない。 ほとんど知られていないことだが、このブリミル歴六千年の間に、明確な新発明をした人間はほんの片手ほどしかいない。しかも判っている限りそのすべてが貴族もしくはメイジだ。 これも先ほどのことと重なるが、我々にはなぜかこの手の変わった出来事を記録にとどめようとする性癖が備わっているせいか、割とたくさんの記録が残されている。最もその大半は異端として教会に葬られ、記録もそこにしか残っていない場合がほとんどだがな」 そこでじろりとヴィットーリオに視線が向き、彼も思わず困った顔になってしまった。 「現代においても、既存の技術の改良は大々的に行われている。フネや砲などは新たに開発されている……と、思われているが、こと武器に関する進歩はまやかしだ。理由に関しては教皇聖下がよくご存じだろうが、その理由はまあここで明かす類いのことではない。 本題からも外れるので、ここは最低限の理由として『見本があった』とだけ言っておこう。今この世界で、そういう意味での真の発明能力持つ人間は、俺の目の届く限り、たった一人しかいない。 もう一度はっきり言おう。 この世界は、始祖の時代から比べて、さしたる変化が全くないのだ。 国としての栄枯盛衰はある。 地図から消えた村や町も多く、生まれ出でた都市もたくさんある。 だが、それは戦争という名の陣取り合戦の帰結に過ぎない。 生活水準や文化という面に於いて、我々の暮らしは六千年前とさして変わっていないのだ。 判るか……この異常性が。 そうそう、もう一つ加えておこう。 貴族と……いや、メイジと平民の間には、実は一つ明確な差がある。 過去の戦の歴史に於いて、平民が貴族に反抗したことは実は一度も無い。 貴族がどんな圧政を敷いても、平民が逆らったと言うことは史実に於いて一度も無いのだ。 歴史に残る反乱は、必ずその中核に、発起人に貴族か元貴族がいる。平民は『貴族に命じられて』初めて反乱を起こせるのだ。 そしてそれこそが、この六千年の間、無能が多い貴族が社会を維持できた最大の理由なのだ」 今度こそはっきりと理解できた。できてしまった。 ジョゼフの言うことの意味、それは、少なくとも魔法の使えない平民は、そうと見えなくとも、かつての、彼の語る『人形』の要素を色濃く残しているのだと。 もちろん、それが正しいと決まったわけではない。 だが少なくとも彼はそう理解している。それだけは間違いの無い事実であった。 「それって……単純に、貴族が、メイジが、魔法を使えない平民より絶対的に強いからじゃないんですか?」 なのはは、そんなこと認めたくないとばかりに、ジョゼフにそう質問してみる。 だが返ってきた答えは単純明快であった。 「ふんっ、貴族とて人間だぞ。眠りもすれば飯も食う。その気になれば毒殺だろうと寝込みを襲うことだろうと簡単にできる。実際そういう手段で暗殺された貴族など腐るほどいる。 だがな、恐ろしいことに、少なくとも千年前までは平民にその手で殺された貴族はいない。必ず背後に貴族の命令がある。 そして例外が見られ始めたのは近年になってからだ。その理由は俺には見当がついている」 「それは?」 「簡単なことだ。長い年月を経て、メイジの血が薄くはあっても広がりきってきたのだろうよ。今の世界に於いて貴族の数は平民の一割ほど。だが、その貴族はその権力にあかせて幾多の平民をもてあそび、表に出ることのない庶子を大量に世にばらまいた。 その数は時代を経て増えることはあっても減ることはない。 そしてさらにその庶子達がまた市井の一平民として子をなしていく。どんどんと薄くなるであろうが、確実にメイジの血を引いた人間は増えていく。 今となってはどのくらいの人間が可能か判らんが、平民の幼子すべてにメイジとしての基礎教育をしたら、いったいどのくらいの子がメイジとして目覚めることやら。 俺はおそらく半数を超すとみているぞ。目覚めぬ子もあくまでも血が薄いだけで、メイジとしての素養を全く持たぬ平民の方が、むしろ少数派ではないかと思っている。 その根拠は『人形』だ。 メイジの因子は間違いなく人形の枷を緩くする。全くメイジの因子を持たぬ生粋の平民は、ほぼ間違いなく昨日と同じ今日、今日と同じ明日を送ることに疑問を抱かず、また貴族のような因子を持つ者に逆らうという発想を持たない。 純血という意味においてだから、家族全員がそういう存在の家庭は、昨今ではほぼ見られなくなってきている。 二百年ほど前の記録には、まだそういう家庭が存在していたらしいことが読み取れるのだがな」 なのは達は、彼の執念に圧倒されてしまっていた。 そんな彼女たちに、さらに恐ろしい事実をジョゼフは告げる。 「もう一つ俺がこの事実を確認するために使った手も教えておこう。 メイジがこの枷を緩められる理由、それはメイジは魔法という手段を得ることによって、このシステムを逸脱するある存在であると誤認させることが可能になるからだ。 その存在こそが『冒険者』。かつての大賢者が呼ばれた称号であると同時に、それは世界にとっての『英雄候補』を意味する物になる。 先に述べた『発明家』も、これに近い存在だ。 俺はただのメイジと彼ら英雄との差をできうる限り調べ、ある結論を得た。 そしてその理論を検証するために、政争のために散った弟の娘を利用した」 弟の娘、の言葉が出た瞬間、それまでジョゼフの言葉に圧倒されていたルイズが叫んだ。 「それ、それって、タバサのこと!」 「そうだ。我が姪、シャルロットだ。 父の死に困惑する彼女を見て、俺は気がついた。どうでもいいと思っていた彼の娘をとことん追い詰めたなら、ひょっとしたら化けるやもしれんと。 俺は考えられる限りの悲惨な運命というやつを演出してみた。死ぬことが安らぎに思えるような苦境に追い込まれた彼女は、それでも生き延びた。その目には強き意志の炎が宿り、その心は運命に従うことを拒否した。 資格を得たかもしれない、そう思って俺は彼女を裏の騎士団の人員とした。 そうしたら案の定だ。まるであつらえたように、何事もなかった我が領内に、いくつもの不穏な事件が起こり始めた。 まるで彼女にそれを解決してほしいかのように。 そしてその果てに、彼女はメイジの限界を超えた。物語の主役であるかのように、ただのスクウェアを超えた領域に彼女は突入した。 馬鹿馬鹿しいと思うかもしれない。だが、これは過去何度もあったことなのだ。 我が姪のようなものはさすがに珍しいがな。たいていは不完全に目覚めた虚無とその使い魔たるガンダールヴがその座を占めることが多かった。 そう……六千年間さして代わり映えのしない文学の世界の中、数多の物語が付け加えられ続けた希有な例」 「イーヴァルディーの勇者……」 ルイズの口から漏れた言葉を、ジョゼフは耳聡く拾う。 「そう。虚無とその使い魔は特に世界を逸脱して『冒険者』の資格を得やすい。元々虚無そのものが本来のことわりから外れた、始祖のもたらした力の原点であるが故にな。 この世の長き歴史を紐解いてみれば、数少ない大きな社会の変化には、必ずこのような人物が絡んでいる」 圧倒的な事実調査に、なのは達は納得するしかなかった。反論しようとするためには、それを覆す証拠を実測してそろえねばならない。 それが成し遂げられればこの王は素直に納得するのであろうが、今それをなすのは不可能であった。それ故、この王を説得することはできない。 そして狂王は、そんななのは達の様子を見て、その野望の、最後の意を宣言した。 「俺はこの停滞を、進歩を忘れた時代を、学習する意思を奪われたことを憎む。 俺はこの事実に気がついたとき、これを打破することを夢見、この箱庭に安住する人形をぶん殴って目覚めさせるすべを考えた。 そして気がついた。 この俺たちを縛る無意識の枷は、時代とともに間違いなく緩んでいる。始祖が最初の軛を解き放ったことで、枷は絶対の物ではなくなっている。だが、同時にそれは俺たちを間違いなく縛っている。 外部から刺激を与えられない限り、『冒険者』のように成らない限り、俺たちは真に自由な意思を持てない。 たとえ真の自由があっても、只人の大半は日々を同じに生きるかもしれない。 だが、それを理由に枷を無視することは許されない。 百人のうちただ一人でも解き放たれたいと望むのならば、それを縛る物を許すことはできない。 俺は始祖の時代を調べ、数少ない歴史の揺らぎを調べ、現代に現れた発明家の過去を調べた。 始祖は残念ながら例外要素が大きすぎた。魔法をもたらしたこと自体が変革の証だった。 だが、それ以外の、時代を動かし、枷を解き放ち、自由な発想を形にすることを可能にした人物には、一つの共通した要素があった。 一つは貴族もしくは元貴族、すなわち発現した魔法の力を持つこと。 最もこれはあくまでも元から枷が緩いと言うだけのことであろう。イーヴァルディーの勇者のような例もあるからな。 より重要な点。それは……彼らは例外なく悲惨な過去を背負っていたということだ。 そこに共通するのは、理不尽な暴虐。人として生きることに疑問を感じるほどの、心を深く傷つける虐待や虐殺だった。 俺がシャルロットを虐待したのも、それを狙ってのことだ。 ちなみに虐待は加えられる側であったとは限らない。加える側であった例も多い。 現に今俺が知る発明家も、かつてとある暴虐の実行犯として軍の命に服した人間だ。 彼の者がその命の後、心を病んで退役し、地位も名も捨てて生きていく中で、過去の枷を打ち砕いた発想を持つに至ったことも判っている。 ……そして、その斬新な発想が、ほぼ理解されていないことも。 おそらくそのものの発想の価値が判るのは、同じようにある意味壊れてしまった余と、外を知るものであるタカマチナノハ、お前くらいであろう」 「わ、わたし?」 重い話の中で突然話題を振られて戸惑うなのは。 「この戦いの後、お前が生きていられたときには、その者の名をお前に伝える手配はできている。その目で俺の言ったことを確かめるがいい。 さて、そろそろ理解できたのではないかな?」 そういったジョゼフの顔は、それまで保たれてきた理性がはがれ落ちたかのようであった。 そして狂王は宣告する。 ――余はこれから、余の話を聞き、覚えたそなた達を虐殺する。 ――全員を殺しはしない。半数には生き延び、そして余の暴虐を語ってもらわねばならないからだ。 ――そして直接攻撃を受け、なお生き延びた者は、おそらくその心の枷が外れているはずだ。 ――この絶対の死地を生き延びるという劇的な出来事。それがその者に『冒険者』としての道を開く。 ――たとえ平民であっても、余を殺そうと思うことにもはや何の干渉も受けまい。それが一つの『物語』となるが故に。 ――望むなら遠慮無く殺しに来るがいい。だが当然余は強い。 ――虚無の魔法、多数の兵士、臣民の尊敬、そのすべてが敵となる。 ――工夫せよ。武器を工夫するもよし、技を工夫するもよし。 ――あるいは政治を、社会を、文化を工夫して余を守る鎧をはぎ取るもよし。 ――その過程でこの世界は間違いなく変貌を始める。六千年にわたって淀み、腐り果てた水はあふれだし、新たな流れが誕生する。 ――そう、世界すべてを巻き込むほどの、新たな『物語』が始まるのだ。 ――但し。 そこで狂王は、地獄の宣告を打ち切った。そして再びその視線を、眼下のなのは一人に合わせる。 それを受けたなのはも、その身を緊張させて狂王の圧力に耐える。 「一つだけ選択の機会を与える。先の約束の通り、余の軍勢は最初の一撃を受けるまでは手を出さない。それがたとえ虚無の一撃であろうとも、だ」 その言葉に、その場にいたアルビオンの兵士達の脳裏に、かつての奇跡の光景が蘇る。 「そう、アルビオンの兵士達よ。死にたくないのならば、虚無の担い手とその使い魔が我を滅ぼすことを願え。そして彼らがそれに応えたのならば、我と我が兵達は安らかに始祖の元に行こう。 反乱が起こることはない。 我が非道の一端として、余のミューズの手により今ここにいる兵士達すべてに一つの暗示が掛けられている。その暗示ゆえ、我が兵士達もまた、最初の一撃を認識しない限り余に刃向かうことすらできぬ。 なに、そのときはこの場にいるすべての命を背負い、余を始めとする兵士達すべての命を虐殺することになった虚無の担い手達が、そしてそれを望んだ一抹の兵士達が、虚無の攻撃を受けて尚生き延びた我が兵士が、等しく心に傷を負うことになる。 その心の傷と命の重みは、間違いなく我々を縛る枷を打ち砕く。 その使命の重さが、お前達を『冒険者的存在』に導く。 余からすれば、どちらでもいいのだ。 余の――俺の望みは、この箱庭を維持するための目に見えない仕掛けを、根本からぶち壊すこと、ただそれだけなのだからな」 それだけを言い切ると、まさに今狂ったかのような高笑いをする狂王。 ひとしきり笑った後、再び真面目な顔に戻って、彼は告げた。 「選べ、虚無の担い手とその使い魔よ。汝はどちらを滅ぼす也や?」 それは、すべてを見ていた。 このハルケギニアの地に起こったことで、それが知ろうと思って知ることのできない事は存在していない。 厳密には皆無ではないが、それは人の営みとは関わらない部分。 事誰かが何かをなすと言うことに関して、そしてそれを知ることに関しては、それは全能と言っても過言では無かった。 そしてそれは、空間に映し出された非情な二者択一を迫られた乙女と、それを突きつけた男を眺めていた。 あなたはどちらを選ぶのかしら。突き進むのか、引くのか……考えるまでもないわね。 私の知るあなたなら、水の精霊が読み取ったあなたなら、答えなぞ決まっている。そして本来その責を負うべき人にそれを担わせるはずもない。 そういう所、あなたはお人好しすぎるもの。 でも、そうすると、少しおもしろいことになるかしら。 あなたの選びそうな道に進むと、誰にとっても予想外のフラグが立ちそうですものね。 デウス・エクス・マキナ。 それはあきらめていた奇跡への道につながるかもしれない。 文字通り、神が降りてくることになるかもしれない。 もしそうなってくれたら、なにもかもが終わる。変わる。 推測でしかないけれど、あなたの知る友があなたの識る通りなら、彼女は来ている。奇跡を開く鍵とともに。 あなたを救いに来る彼女が、鍵の娘をおいてくるわけがない。 喜びなさい、狂える王よ。 あなたの努力は、斜め上に突き抜けた奇跡を起こしそうよ。 事実は小説より奇なり、精緻な策略は時に愚者の無策に破れる。 どんな精緻な計算も、前提となる情報が間違っていたら決して正しい答えは出ない。 そう。真実は時に荒唐無稽。あまりにも馬鹿馬鹿しい現実。 貴方達は、このあまりにもお馬鹿な事実に耐えられるかしら。 それは視線を眼前の映像から外し、背後へとそれを移す。 その動きにつられ、長い金色の髪がふわりと広がる。 その視線の先には、横たえられたカプセルがある。 ちょうど人一人が寝られる大きさのカプセルには薄く光る液体が満たされ、その中にはやや年かさの女性と思われる人物が浮かぶように横たわっていた。 それが横たわる女性を見る目には、果てしない慈愛と憧憬が浮かんでいた。 前ページ次ページゼロと魔砲使い
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銀色の夜天(前編) ◆7pf62HiyTE ―――『彼』は無機質なままに市街地を進む――― 『彼』はある科学者がある目的の為に作り上げたが、その科学者にとっては科学者の作品達が輝く為に使うガラクタでしか無かった。だが、『彼』の同胞達にとってはそんな事等関係無しに命じられるがままに動いていた。 仮に自分達が無慈悲なまでに破壊され尽くしたとしても……只、『主』から命じられるがままに…… その最中、気が付けば『彼』とその同胞は自らの武器を封じられた上で『彼』の住処に置かれていた。その場所で自分達を使ってくれる『主』を待っていたのだ。そして、ある少女が『彼』とその同胞を見つけ出した。 少女は『彼』等の武器が封じられた事を知り落胆していたものの、元々残っている機能と少女が持つ力を駆使し『彼』とその同胞にある命令を出した。 少女が使う事を許された『彼』とその同胞は計3体。1体は少女と共にあるものを探す為に少女と同行し、残る『彼』と他1体には少女から『命令』を与えられると共にある『仕掛け』が施された。 『彼』に与えられた命令は3つ。 市街地の巡回 生体反応への追突 あるカテゴリーに分類される者達の眼前で停止 これらの命令を与えられた『彼』と同胞はその命令を実行する為に『彼』の住処から放たれていった。 『彼』と同胞は『主』に命じられるがままに進む。だが、他の者から見れば『彼』等は道具でしかない。『彼』等を待つのはやはり無情なる現実だろう。 まず、前述の『命令』と『仕掛け』が施されず少女と同行していた『彼』の同胞は病院から発せられた暴力的な光によって破壊された。 ちなみにこの場には少女はいなかったもののその場には少女の同行者が3人いたがその内の1人が防御魔法を展開した事により3人は無事ではあったが前述の通り『彼』の同胞は守られる事なく破壊された。 残る『彼』とその同胞は各々が命令を果たす為に市街地を飛び回った。 そして命令の内、『あるカテゴリーに分類される者達への眼前での停止』に関しては『彼』とその同胞のどちらが果たしたかは不明ではあるものの少女の姉妹に対してそれを行う事が出来た。 但し、『彼』にしても同胞にしてもその命令がどういう意味を持っているのかは全く知らない。 そう、例えばその目的が少女が姉妹へメッセージを送る為のものであり、そのメッセージが少女が想定しない人物に伝えられる可能性があったとしても、それは『彼』と同胞の知る所ではない。 そして、奇しくも少女にとって想定外の事態が起こった。それは『彼』の同胞がある人物に接触した事だ。 少女にとってその人物は未知の人物であり当然『あるカテゴリーに分類される者達』だとは考えていなかった。だが、その人物は『あるカテゴリーに分類される者達』として同胞に認識された。 つまり、同胞はその人物に対し追突を行わず眼前で停止したのだ。いや、それだけならばまだ少女も想定出来た範囲だったかも知れない。 だが、問題はその人物は少女とその姉妹を守る為に同胞を連れて行こうとしたのだ。無論、そこには悪意は全く無いわけだがその人物は少女が指示した命令の半分の意味を知らない。 それを知らないまま同胞を手元に抱える事が少女の意に添わない事である事も当然知り得ない。 そして『彼』はひたすらに進む……あるカテゴリーに分類される者達の眼前で停止、そして生体反応への突撃を行う為に……そこには何の感情も意志も存在しない。ただ、命令に従う為に『彼』は進むのだ。 『彼』にとっては命令によって自身がどうなるかなど知るわけもないし、その事には全く興味はない。仮に、生体反応に突撃を行えば『彼』は少女の施した『仕掛け』により爆散しその『生命』を散らすとしても…… ―――何を知る事もなく『彼』は市街地を進む。『彼』自身に与えられた命令を只実行する為に――― ★ ★ ★ F-2に位置する翠屋のテーブルに3人の女性、八神はやて、シャマル、クアットロが着いている。目的は落ち着いて情報の交換と今後の方針等を纏める為だ。 尚、翠屋を訪れる前に3人は川に落ちて服を濡らした為、持っていた服及び翠屋で見付けた服に着替えたものの乾燥が大体済んだ為はやてとシャマルは元の機動六課制服に着替えている。 なお、クアットロは着ていた服の方はこれまでの戦いと川で流された事により衣服としての役割を果たさなくなり、更に元々着ていたナンバーズスーツは川で紛失した為、翠屋で見付けた制服をそのまま着続けている。 最初に3人は参加者が異なる時間及び並行世界から連れて来られているという事実を確認した。更に、 「今ここ見て気付いたんやけど、この翠屋も恐らく私らの時代から10年ぐらい前から持ってきたか複製したと思われるな」 翠屋が約10年ぐらい前のものだろうとはやては語った。その理由は高町なのはの部屋が小学生当時のままであった事、クアットロが着ている制服がなのはの姉である高町美由希が学生時に着ていた制服だった事等からだ。 「……でもどうしてわざわざ10年前の場所を?私達の時代の物を持って来るなり複製するなりすれば済む話じゃありませんか?」 もっともな疑問をクアットロは口にするが、それに対しシャマルが答える。 「10年前のはやてちゃんやなのはちゃん達が来た時におかしいって思わせない為じゃないかしら?」 「そうやな、10年前の私らやったら本部や隊舎よりもこっちに向かうからな」 9歳当時の自分達が参加させられている場合(シャマルは確信しているし、他の2名も可能性は高いと見ている)、彼女達は何処へ向かうのか? 当時の彼女達は管理局との関係が深いわけではなく、当然機動六課という物も知らない。となれば近くにあるならともかくそうでないならば地上本部や機動六課隊舎に向かうとは考えにくい。むしろ自分達になじみ深い翠屋に向かう可能性は高い。 そして前述の通り9歳の彼女達がここに来るならば、不審を抱かせない為に彼女達の時代の翠屋を用意するのは当然の流れと言えるだろう。 ちなみに19歳の彼女達が訪れれば不審に思うわけだが、彼女達の場合は翠屋よりも地上本部や機動六課隊舎に向かう可能性が高いので早々に翠屋に向かう可能性は低い。 また、仮に訪れた所でこの年齢の彼女達ならばこの地に翠屋がある事の方が不自然なのでそこまで問題にはなり得ない。 但し、実際は何の因果か19歳のなのはがスタートした場所がこの翠屋である。ならば、なのはは早々にその不自然な事態に気付きそうな物であろう。だが、彼女は最初に死んでしまったアリサ・バニングスの死のショックもあり中を詳しく調べてなかった。 更に、翠屋にはザフィーラも一度訪れていた。だが、その理由は同行者のLが砂糖を手に入れるのが目的でザフィーラ本人は待っていただけなので中の様子は調べていない。 他に訪れた参加者については10年前当時の人物、翠屋を初めて訪れた人物といった者達なのでやはり違和感を覚える事はない。 故に翠屋の中をまともに調べた参加者は今ここにいる3人が初めてなのだ。 「理由はどうあれこの事も頭には入れておいた方がええな」 ここでようやく情報交換に入る。まずはやてはクアットロとシャマルにこれまでにあった事を語らせた。予めシャマルに聞いた話では長い事クアットロと同行していたらしいので、2人一緒に語って貰う事にしたのだ。 まず、クアットロはこの地に着いてすぐさま妹達や機動六課の仲間を捜そうとしていたがいきなり神父らしき人物に有無を言わさず襲われた事を話した。 その後、何とか逃げ延びたもののその時に誰か他の参加者と話しているフェイト・T・ハラオウンを見かけた様な気がしたが、先程襲われた事で少々混乱していた為話しかけられなかった事を話した。 一方のシャマルはこの場所に着いてから2時間程市街地を散策するものの誰1人と遭遇出来なかった事を話した。 そして、いきなり現れた男性に襲われたものの何とか逃げ出した所、混乱状態から落ち着いたクアットロと出会った事を話す。なお、襲った男性がどういう人物かは不明だが何故かクアットロ、チンク、ディエチの事を気にしていた事を説明した。 その後2人は地上本部に向かおうとしたもののその時にクアットロはシャマルの支給品である高良みゆきの制服に着替えた事を話した。 そして移動する2人だったがその途中、遊城十代と遭遇し彼と情報交換しながら3人で地上本部に向かい地上本部に到着したタイミングで最初の放送を迎えた事を話した。 放送後、クアットロは地下と最上階を調べる為に別行動を提案し、シャマル達はそれを了承し別行動を取った事を話した。 「そしてシャマル先生は上の方にあった何かではやてさんの所に飛んだという事でいいんですね?」 クアットロと別行動をとった後、シャマルと十代は展望室で魔力を込めれば対象者の望んだ場所にワープ出来る魔法陣を見付けそれを利用した事を語った。 「何かの罠だとは思ったけど、これを使えばはやてちゃん達に会えると考えたら……」 「まあ実際会えたわけやから効果の方はある程度信用してもええかも知れん……使い勝手は悪いけどな」 「十代君とは別れ別れになりましたものね」 その後ははやてと簡単な情報交換を済ませた後、1人待たせているクアットロと合流する為に地上本部に向かったらその途中であられもない姿を晒しているクアットロと合流したのである。 そのクアットロの方では地下を散策していたものの何一つ見付ける事が出来ず、1人シャマル達が戻るのを待っていたが、ある参加者に襲撃され逃げ出した後、シャマル達と合流した事を話した。 「それで、誰なんや? クアットロを襲った奴は?」 はやてはクアットロを襲った人物について問い、クアットロはゆっくりと口を開く。 「信じられない話なんですけど……私を襲ったのは……キャロですわ」 クアットロは自分を襲った人物がキャロ・ル・ルシエである事を話した。彼女は持っていた大きな鎌で一方的に自分を斬り裂こうとしたと…… 当然の事ではあるがシャマルはそれを信じられないでいた。幾らシャマルがここにいるクアットロが改心しているから自分達を騙すつもりはないと思っていても、あのキャロが人を殺そうとした話など信じられるものではないからだ。 「シャマル先生の気持ちはわかりますけど……これが真実ですわ」 一方のはやては冷静に、 「なあ、本当に一方的だったん? 例えばクアットロがキャロは使えないと考えてシャマルが戻ってくる前に人知れず殺そうとしたって事は無いん?」 はやてはクアットロが改心したという話を信じていない。キャロが現れたかどうかはともかく、クアットロが襲うという可能性は十分にあり得ると考えていたのだ。 「そんなことありませんわ! 本当に話しかけたら一方的に襲われて……」 クアットロははやての言葉を否定する。実際ははやての指摘通り、キャロを殺すつもりはあった。しかし現実には一方的に攻められるという散々な結果に終わった。 「わかったわかった。誰かはともかく襲われた話は信じるって」 「はやてちゃん……でも本当にキャロが……」 だが、シャマルはクアットロが襲われた事はともかく、キャロが襲ったという事実をどうしても信じられないでいた。 「いや、あり得へん話やない。確か放送では……」 対して、はやてはキャロが殺し合いに乗っている事については否定していない。 ここではやては放送で言っていた優勝者への御褒美の話を持ち出す。最後の1人となったものにはどんな願いも叶えてくれるという話だ、御丁寧に最初に殺されたアリサを蘇生させた上で死者蘇生も可能である事を示した上でだ。 「そういえば、エリオ君を取り戻せたらそれでいいって言っていましたわ」 クアットロはキャロが既に死亡しているエリオを取り戻すつもりでいる事を話した。 「やっぱりそうか……」 それを聞いて納得するはやて、しかし一方でシャマルはまだ納得出来ないでいた。そんなシャマルに対しはやては、 「例えばの話やけど私が死んだとしたらシャマルはどないする? あの放送の様に最後の1人になったらどんな願いでも叶うと言われたらどうや?」 仮にはやてが死んだとしたら? その最悪の仮説を聞いてシャマルの頭は一瞬真っ白になる。そんなケースなど考える事すらしたくはないがあり得ない話ではない。仮にそれが起こったとしたら…… 「……最後の1人になって、私を生き返らせたいと思うよな」 「うっ……」 否定できなかった。機動六課の仲間や何の力も持たない人々、そしてザフィーラやヴィータすらとも殺し合ってはやての復活を願ってしまう可能性が高かった。 「私だってそうや、もしもこんなアホな戦いでシャマルやヴィータ達がみんなおらんくなったらみんなを取り戻す為になのはちゃんやフェイトちゃんを殺してでも優勝を狙うかも知れん」 はやてもシャマル達がいなくなれば同じ事をする可能性があると語る。 「はやてちゃん……」 シャマルとしてははやてにその手を血で汚させてまで自分達を生き返らせる事を望みはしない。しかし、はやての考えそのものを否定する事は出来はしない。 「私らだってそうなんやからキャロがエリオを生き返らせる為に殺し合いに乗る事自体は理解出来る……」 そして、放送の言葉に従うがままに殺し合いに乗る事を肯定するが、 「でもな。そんな安っぽい口車でホイホイ人殺しをするなんてほんまもんのアホや、そんなのは只の逃避か思考停止でしかない」 と、安易に殺し合いに乗ったキャロ達を完全否定した。 「私らのすべき事はこんなアホな事をするプレシアを止める事や、違うか?」 はやての言葉に頷く2人だった。 「今度ははやてさんの話を聞かせてもらえます?」 と、クアットロがはやてがこれまでに誰と出会ったかについて聞く。 「ああ……」 はやては自分が最初に地上本部のレジアス・ゲイスの部屋に転送されその後キングという少年と出会い、彼からベルト以外の支給品を渡された事を語る。 「そのキングって子何を考えているんですか?」 「私もその時はあまり深くは考えんかったけど……正直、失敗やった……」 その後、はやては幸運にもヴィータと再会出来たが、そのヴィータに偽物扱いされ戦う羽目になった事を語る。それを聞いて驚愕する他の2人ではあるが、 「全てキングが悪いんや……」 はやては起こった事を語る。キングが外の様子を見に行ったらヴィータが赤い巨大な恐竜に襲われているという話だったので、はやてはすぐさまヴィータを助ける為にそこに向かった。 そして、キングから渡された武器を使い赤い巨大なトカゲを仕留めたのだ。だが、その直後ヴィータが逆上してはやてに襲いかかったと。そしてヴィータははやてを偽物だと言い放ったのだと。その話を聞いた今でもシャマルは信じられないでいた。その一方、 「あの、それって本当は恐竜とヴィータちゃんは仲間同士で、仲間が殺されたから逆上したんじゃないのかしら?」 「ああ、今にしてみればクアットロの言う通りやったと思う。つまりキングに騙されたということや。何しろヴィータにコテンパンにやられた後は思いっきりキングに馬鹿にされたしなぁ……」 はやての顔は明らかに不機嫌な顔をしていた。 「それでヴィータちゃんは?」 「あの後どっかに行った」 その後、追い掛けようとしたがまたしてもキングによって足止めを喰らった。キングは地上本部を調べないかと提案してきたのだ。はやてとしては断りたかったがキングはこっちの言葉を聞かず一方的にはやてと分かれ別行動を取ったのだ。 そしてはやての方は何も見付けられなかったが、キングの方は後にシャマル達も使った魔法陣を見付けたのだ。キングとの合流後それを使ったわけではあるが、 「私としてはヴィータに会いたいと思ったんやけど」 はやてが転移した場所は図書館。しかし、目的の人物であるヴィータには会えなかった。なお、不幸中の幸いかキングと離れる事には成功している。 「正直またキングに一杯食わされたと思ったわ」 その為、はやてはあの魔法陣は参加者を分断する為の罠だと考えたのだ。 「でも、シャマル先生の場合は会えたんですから、はやてさんの場合も多分転移した時点では近くにいたんじゃ……例えば図書館のすぐ外とか」 クアットロの指摘通り、はやては気付かないものの彼女が転移した場所は図書館の二階、その時点では丁度ヴィータは図書館を出た所であった。つまり、すぐにでも図書館を出ればヴィータと再会出来た可能性は高い。 「ああ、私もシャマルの話を聞いてそう思ったわ。でもな、アレはかなり使い勝手が悪いで。参加者を分けるという意味ではやっぱり罠やし、転移場所も割と距離が離れている所になる可能性は高いからあんまり使えるものではない事に変わりはないな」 はやてはシャマルが無事に自分と再会できたことから魔法陣が罠ではない事については納得しているが、使い勝手が悪いと考えている。 「そこで放送を迎えてこれからの事を色々考えていたらシャマルがやって来たと」 そして、クアットロのいる地上本部に戻ろうとしたらクアットロがやって来たというわけである。 「……とりあえず、私らが3人集まるまでの事についてはこれでええな」 その後の事は3人共おおむね把握している。3人の所に半裸の男性神・エネルが現れ有無を言わさず雷撃攻撃を仕掛けてきた。そこに突然銀髪の男性とヴィータが出現して、気が付けば川に落ちていて、その後近くにある翠屋に向かったという事である。 「そういえばどうしてヴィータちゃんとあの男の人がいきなり現れたのかしら?」 「シャマル先生、きっと2人もあの魔法陣を使ったんじゃないんですか? シャマル先生かはやてさんに会いたいと思って……」 「2人して同じ所に転移出来るとは思えんけどな」 真面目な話、何故いきなりヴィータと銀髪の男性が現れたのかはわからない。とりあえず何かしらの方法で転移したのだと解釈する事にした。 続いて、3人は自分達の知り合いについての確認を始める。とはいえ3人ともJS事件後から来ている関係上知り合いについては殆ど共通しているのでそれは容易だ。 既に死亡している参加者とここにいる3人を除いた全ての参加者は44人、 その内元々の知り合いはなのは、フェイト2人、もう1人のはやて、ヴィータ、ザフィーラ、スバル・ナカジマ、キャロ、ギンガ・ナカジマ、ユーノ・スクライア、ヴィヴィオ、チンク、ルーテシア・アルピーノ、ゼスト・グランガイツの計14人。 それ以外で3人がこの地で出会った参加者で名前を把握しているのは十代、キング、エネルの3人。 十代経由の情報で容姿と名前が判明しているのが早乙女レイ、天上院明日香、万丈目準、そして柊つかさの計4人。 残る23人について現状は顔と名前が一致していない。 クアットロを襲った神父、シャマルを襲った男性、そしてエネルの襲撃の際にヴィータと共に現れた銀髪の男性もここに該当する。 さて、今現在生き残っている参加者の内半分弱を把握している3人であり、さらに3人から見てその殆どは彼女達にとって味方となってくれるはずではあるが、 「……恐らく、この内の何人かは殺し合いに乗っているやろな」 はやては仲間であるはずの彼等が殺し合いに乗った可能性があるという結論を出した。クアットロはそれを聞いて頷く一方、シャマルは信じられないという表情をしていた。しかし、 「忘れたか? 放送でのあの言葉を……死んだ人数から考えて、なのはちゃんやフェイトちゃんがその甘い言葉に釣られて殺し合いに乗る可能性は否定出来ん。キャロが殺し合いに乗ったという話が真実やとしたら尚の事や」 優勝者の御褒美を手に入れる為に殺し合いに乗る可能性をはやては語る。クアットロの話の真偽がどうあれ、可能性は否定出来ない。それでも、 「確かにフェイトちゃんもなのはちゃんを生き返らせる為に殺し合いに乗るかも知れないのはわかるけど……その為にはやてちゃんやヴィータちゃん、それにキャロ達まで殺すなんて事は考えられないと思うけど」 シャマルは自分達ならともかく、フェイト達がたった1人の大切な人物を生き返らせる為に他の友人や仲間を皆殺しにする事は流石にあり得ないと語る。と、クアットロが、 「確か放送ではどんな願いでも叶えるって言っていたんでしたわね?」 「何が言いたい?」 「生き返らせられる人数は1人だけとは言っていませんでしたわよね?」 「まさか……」 クアットロの言葉にシャマルもその真意を気付く。 「この殺し合いで死んだ人全員を生き返らせるという話か?」 「ええ……これならフェイトさんもキャロも平気で殺し合いに乗ると思いますわ」 御褒美の願いで死んだ人全てを生き返らせる。確かにそれなら大切な人全てを取り戻す事は可能だ。 「幾ら何でも馬鹿げているわ」 だが、シャマルはそれはあり得ないと否定する。当然だ、わざわざ60人を殺し合わせているのに終わったら見せしめを含めて60人全てを生き返らせてしまえば殺し合いの意味は全く無くなる。少し考えればわかる事だ。 「そんな事は少し考えればわかることや。でもな、深くも考えず殺し合いに乗る様なアホや、そんな簡単な事にも気付かんと思うわ」 しかし、はやては御褒美を使って全員を生き返らせようとする様な者はそんな簡単な事にすら気付かない大馬鹿者だと斬り捨てる。 「まあ、流石に全員は無理だと気付いても1人ぐらいは生き返らせられると考えて殺し合いに乗る奴はいるだろうけどな。それでも願いを叶えるって話が本当かもわからないのにそんな言葉に乗るのは只のアホやけどな」 3人とも御褒美という話が真実かどうかは不明でアリサの復活にしても何かしらのトリックを使ったと考えている。故に、はやての言葉については2人とも同意だ。 「それとは別の話やけど、御褒美に乗らなかったとしても私らが仲間と思っていても敵対するのはいると思う。私らが異なる時間、異なる世界から連れて来られているとしたら十分にあり得る話や」 はやては異なる時間及び世界から連れて来られているならば、仮に仲間であっても敵対している可能性がある事を語った。 例えば、チンクやルーテシアがJS事件の最中より連れて来られているならばどうだろうか? 彼女達が管理局に下るもしくは保護されたのはJS事件後の話だ。その時期より前、JS事件の最中ならばほぼ確実に管理局の面々とは敵対する。 また、ギンガ・ナカジマもJS事件の最中に捕まり六課の敵として立ち塞がって来た事があった。その時期から連れて来られたならば彼女もまたやはり六課と敵対する筈だ。 そして、JS事件の際に捕まったのがギンガではなくスバル・ナカジマだったという可能性も0とは言えない。仮にその世界からスバルが連れて来られているなら彼女も敵となっている可能性が高い。 「はやてちゃんはスバルやギンガ達も敵になっているかも知れないと言うの?」 「あり得ない話やない。何しろ騎士ゼストや改心したクアットロがおるんやからな」 そう、JS事件にてゼストは死亡している。にも関わらずこの場にいるという事はゼストはJS事件の最中から連れて来られたという証明になり得る。当然それは他の参加者にも適応される。 そして、はやてとシャマルの知るクアットロは改心していないが、この場にいるクアットロは改心しているという話だ。やはり他の参加者にも同じ事が言えるだろう。 「逆にギンガが捕まってない世界もあるかも知れんが……そんな都合の良い展開はないやろ」 「そうですわね」 はやては更に話を進める。 「それに、この話はJS事件についてだけ言える事やない。仮にヴィータ達が10年前から連れて来られたとしたらどうや?」 10年前……闇の書事件が解決する前にヴィータ達が連れて来られているならば彼女達はどうするのか? その当時の彼女達ならばはやてを守る為、優勝させる為に他の参加者を皆殺しにする可能性が高い。当時は管理局とは敵対していたので当然管理局に属しているなのは達とも敵対するのは言うまでもない。 「さっきのヴィータの話に戻すけど……私を偽物だと思ったのはキングの仕込みの他にヴィータが10年前から連れて来られた事も原因だと思う」 はやては再びヴィータと敵対した時の事を話す。確かに決定的なきっかけはキングの行動だったが、ヴィータがはやてを偽物だと思ったのはヴィータの知るはやてが9歳の彼女だからかも知れないと。 確かにその当時のはやては9歳と幼く、同時に車椅子だった事もあり、あの場にいた20歳前後で普通に立って歩いているはやてなど限りなく似ている偽物としか思えなくて当然だ。 加えて、平気で仲間を惨殺する(はやてにその意志は無いがヴィータにはそう見えた)はやてなど、当時のはやてしか知らなければまずはやての皮を被った偽物だとしか考えられない。 「まあ、こっちの方は落ち着いて話し合いが出来れば何とかなるとは思うけどな」 何はともあれ、3人の中でこれから他の参加者に接触する際は、例え仲間であっても一定の警戒心を持った方が良いという共通認識を持つに至った。 続いて3人は手持ちの道具を確認する。 クアットロが所持しているのは鋼糸が内蔵されている手袋と先程手に入れた小麦粉だけ。 シャマルが持っているのはクアットロもシャマルも使えないと判断した赤い鞘だけ……ちなみに先程まで持っていた包丁は先程紛失したと語った。 はやての方はカリムの服とスモーカー大佐の服、キングから渡されたツインブレイズ、そして先程拾ったデイパックの中にあったデルタギアである。 ここで重要なのはスモーカーの服に入っていた十手とデルタギアである。まずは十手について語る。 「こいつには海楼石と呼ばれるのが付いているらしい。そして、エネルっちゅう奴は海楼石を恐れているという話や……海楼石が何かはわからんけど海に関係があるかも知れん」 実際、海楼石は海を固形化した鉱物であり、エネルにとっては海等水の溜まっている場所や海楼石は弱点でありその強大な力を封じられてしまう。とはいえ、海楼石という名前だけではそれに気付く事は出来ない。せいぜい、関係がありそうだと思う程度だろう。 「……でも、仮に弱点がわかった所でどうにか出来るとは限りませんけど」 「その通りやな、先手を打たれればそれで終わりや」 結局、弱点がわかってもすぐさま対処法に導く事は無かった。海楼石についての話は切り上げ、はやてはデルタギアについて話し始める。 まず、はやてはこれが仮面ライダーに返信する為のシステムだと語った。 実際このベルトは仮面ライダーデルタに変身する為のベルトである。しかし、デルタギアの説明書には仮面ライダーという用語は何処にも見当たらない。では、何故はやてはこれが仮面ライダーに変身する為のベルトだと解釈したのか? 思い出して欲しい、はやてはキングから仮面ライダーがベルトを使って変身して悪い奴らと戦う戦士だという事を聞いていた。そしてデルタギアの形状もベルト……仮面ライダーのベルトを連想する事は容易である。 「説明書を見た所こいつを使えば変身出来るとある。とりあえずこれについては私が持っておく」 「でもはやてさん、キングって人もそれを狙ってくるんじゃありませんか?」 クアットロがキングがベルトを集める為にデルタギアを狙ってくる可能性を指摘する。 「多分な。でもそれならそれで好都合や、向こうからやって来た所を迎え撃てばええ」 そう、はやてがデルタギアを手元に置くのには武器としての有用性だけではなくキングに対しての牽制でもあったのだ。キングがデルタギアを狙った所を叩く事を考えていた。 「でもな、こいつにとって重要なのはそれだけや無い、こいつの製造元はスマートブレイン……地図にそんな場所があったやろ」 スマートブレインの場所を地図で確認する。 「これだけのベルトを作る事の出来る技術力……そこに行けば他にも何か使える武器が手に入ると思わん?」 と、首を触りながら話す。 「確かにキングの弱点もわかるかも知れないわね」 と、やはり首に手を当てながら話す。 「もしかしたら他にもベルトが手にはいるかも知れませんわね」 これまた首をトントンと叩きながら話す。 「大体落ち着いたらスマートブレインに行って『武器かベルトを探す』ってことでええな」 と、3人の次の行動が纏まった。勿論、3人の脳裏には別の思惑があった。それは首輪の解除である。ベルトを作るほどの技術力を持つスマートブレインだ、首輪解除のヒントになる可能性は高い。 勿論、面と向かってそれを話せば首輪を爆破される可能性がある為、敢えて口にはしていない。 続いて3人は次にあの時現れたヴィータと銀髪の男について話す。ヴィータは現れた瞬間、こちらに向かって『てめえ、覚悟しろ!!!』と問答無用で斬りかかって来たのだ。 「多分、ヴィータが狙ったのは私や」 ヴィータが狙ったのは自分だと語るはやて。シャマルはクアットロの方ではと否定するが、 「さっきも言ったがヴィータの奴私の事を偽物だって思いっきり恨んどるからな。私を見かけたら斬りかかっても不思議はない。それに仮説通り10年前から連れて来られているならクアットロを狙う事はあり得ん」 はやては先程の一件と10年前から連れて来られているという仮説からクアットロではなく自分を狙うと語った。勿論、10年前から連れて来られているという話は仮説でしかないが、それでもクアットロよりも自分を狙うと語る。 「それにシャマルが仮にヴィータと同じ立場やったら私の方見ないで最初にクアットロの方を見るか?」 「いや、多分はやてちゃんの方を……」 「そう、真っ先に私の方を見るよな。その上ヴィータは私を恨んどる、だとしたら真っ先に私を見るのが自然だと思うけどな」 何にせよ、ヴィータがはやてを恨んでいるという状況は不味い。一刻も早くヴィータと合流して誤解を解いて置きたいと思う2人に対し、 (……このまま仲違いを続けても一向に構いま……いや、現状を考えると手駒になりそうな人を逃したくはありませんわね……うん、ここは何とか和解してもらった方が良さそうですわね) クアットロとしても、加えられるのであればヴィータを手駒に加えておきたいと考えていた。幾ら仲間同士が殺し合うのは望む所とは言え、それはあくまでも自分に被害が及ばない範囲での話だ、この状況ならば身を守る為手駒は多い方が良いに決まっている。 続いて銀髪の男について話すものの残念ながらよくわからない。 「一瞬だったからわからなかったんですけど、あの人はやてさん達を守っていたんじゃ……」 「しかし、何故見ず知らずの私達を守ってくれるん?」 「もしかして、何処かの世界でははやてちゃん達の味方になってくれていたとか?」 「待てよ……そうなると……」 はやてはある事……参加者は自分達もしくは何処かの並行世界で何かしら自分達と関係のある人達ばかりだという可能性に気付き、 「何処かの世界ではキングが私らの知り合いだったり、あのエネルって奴とも知り合いって事か? 嫌な話やな……(まあ、ゴジラがおる世界から連れて来られた私が言えた事やないけどな)」 何はともあれ、銀髪の男を味方に引き入れるべきかを話し合う。少なくとも味方ならば引き入れたい所だ。 だが、銀髪の男性が味方という事が確定したわけではない。確かにあの場では自分達を守ってくれたかもしれないが、それはあくまで一瞬の出来事でしかなく、それだけで断定するのは危険だ。 さらに仮に自分達の推測が全くの的外れだった場合は一転して自分達が危機に瀕してしまう。考えてみて欲しい、エネルの攻撃を抑えられる力があるならば、自分達など一瞬で皆殺しに出来るはずだ。そんな危険な賭けをするつもりなどはやてにはない。 「そいつが私らの味方って保証は何処にもないからな。一応頭には入れておくけどどうするかは状況を見てからや、まあそうそう都合良く出会えるわけもないだろうけどな」 ひとまず銀髪の男性に対する判断は保留にする事にした。その最中、 「あの、はやてちゃん……十代君は……」 シャマルは十代はどうするのかが気になった。一応、シャマル達は地上本部に戻る手はずではあったが自分達は今現在そこから遠くはなれた翠屋にいる。 仮に十代が会いたい人に会えた後自分達と合流する為に地上本部に向かったとするなら行き違いとなる可能性はある。 「心配なのはわかるけど、すぐに戻ったりは出来んよ。それに地上本部の近くに転移したとも限らないしな」 「それに地上本部にはキャロがいますわ。仮にすぐ近くだったとしても、十代君達が下手に戻ったらキャロに殺されてしまいますわ……無事でいてくれれば良いですけど……」 「その懸念はあるな……ちょっと待て、地上本部にキャロがいるって!?」 突如、はやての声を荒げる。 「不味いな、キャロが今すぐにでもここに現れるかも知れん」 はやてはキャロが地上本部にある魔法陣を使って自分達の元に現れる可能性を語る。 キャロが殺し合いに乗っている場合、キャロは優勝する為に殺し合いを止めようとするグループに入りひっそりと機を伺うか、一時的に優勝狙いの参加者と組むか、殺しやすい弱者を狙うかの行動を取る等幾つか考えられるパターンがある。 キャロがどのような行動を取るかの断定は出来ないが、逆を言えばどれを取る可能性もある。 「もしキャロが魔法陣を使って弱者の所に行ってそいつを殺すつもりならターゲットとなるのは……お前やクアットロ」 その標的として相応しいのは戦闘能力に乏しい参加者……クアットロがそれに最も相応しいと言えよう。クアットロが戦闘向きではない事もそうだが、実際に一度遭遇してクアットロを撤退に追い込んだ事も大きいからだ。 「どうすればいいの、もしキャロがやって来たら……?」 「落ち着くんや、あの魔法陣は必ずしもすぐ側に転送出来るわけやない。転移したとしても少し離れた所になる可能性が高い。となれば……シャマル、ちょっと外の様子を見に行ってくれるか?」 と、シャマルに外の様子を探らせに向かわせた。互いに何かあればすぐに戻るもしくは外に出ると話した上で。 シャマルが外に出て店内にいるのははやてとクアットロの2人だけとなった。と、クアットロが、 「この殺し合いを開いたのは本当にプレシアなんでしょうか?」 PT事件で死んだはずのプレシアがそれより後の事件の関係者であるはやて達やクアットロ達を参加させたのは不自然だとクアットロは語る。もしかしたらJS事件の関係者……いや、ジェイル・スカリエッティがこの殺し合いに関わっている可能性を語った。 「実を言えば、私もその可能性は考えた。」 はやて自身もプレシアが全ての技術を使いこなしているとは思えない事からスカリエッティが関わっている可能性を語る。それを聞きクアットロも同じ事を考えたと語る。同時に他にも関わっている人物がいるのではないかと2人は話す。 そして、そういう人物についての可能性だが、 「1つあり得そうなのがありますわ」 と、クアットロは十代から聞いた十代達を異世界へと誘った存在やデス・デュエル、プロフェッサー・コブラについての話をし、その件が今回の殺し合いと関係があるのではと語った。 そしてコブラの境遇、デス・デュエルとの類似点を踏まえプレシアの背後にはコブラに協力した精霊がいるのではと話す。 「……可能性の1つとしてはあるな。まあ、他にも誰かいるかも知れんがこれについてはもう少し調べればわかるかもな」 続いて2人はプレシアの目的について話し合う。PT事件を踏まえPT事件関係者への復讐が目的という線があるが、それならばリンディ・ハラオウン等も連れて来られなければおかしい。しかし彼女がここにいない為、それが目的である可能性は低いだろう。 やはりPT事件を踏まえるならば目的はアリシア・テスタロッサの蘇生だろう。だが、そうなると放送での復活劇は嘘という事になる。仮にそうならば殺し合いなどやらずにすぐにでも蘇生させれば話は終わりだからだ。 「仮説の話やけど、私はプレシアがアリシア復活の為に殺し合いによる死を必要としていると考えてる」 はやてはプレシアがアリシアの復活の為に、単純な60人の死ではなく、殺し合いによる死が必要という可能性を話した。そして、クアットロが話してくれたデス・デュエルの話を聞いた今となってはその仮説が的外れではないと考えていると語る。 「でも、色々な世界から色々な物を見付けられるとしたらもっと効率の良い方法を見付けられそうなものですけどねえ……そんな60人の人を殺し合わせるなんて回りくどい方法をとらずに……」 それに対しクアットロがもっともな疑問を口にするが、 「そういう回りくどい方法を取らざるを得ないんやないか?」 プレシアは全知全能の力を持っていると考えているのが大体の参加者の共通認識だ。だが、はやてはそれを否定していると語る。 本当に全知全能ならば前述の通りすぐにでもアリシアを蘇生させればいいし、また現状で方法が無くても更に他の世界を調べて蘇生の方法を見付ければいい、わざわざこの場で60人を殺し合わせるというややこしい手段を取る必要は全く無い。 ならば、本当はアルハザードの技術を全て物にしているわけではなく、今現在は限られた技術しか使えないのではないのか? それで、蘇生の方法を確保する為にこの殺し合いを行っていると。 但し、この仮説はあくまでもプレシアが首謀者である場合の話だ。裏に他の人間が黒幕としているならば、この仮説は成り立たない。 「どちらにしても死者の蘇生の話は嘘と考えた方が良さそうですわね」 「勿論、本当に優勝さえ出来れば可能性はないわけではないが……正直それすらも微妙な線やな」 「プレシアにしてみれば叶えてやる義理なんてありませんものね」 「そうや、少なくともこっちの命を相手に握られている現状ではまず不可能、本当に願いを叶えるんやったらプレシアと取引出来る状況まで持っていかなあかん」 2人は現状で優勝してもプレシアが願いを叶えて……特に死者蘇生させてくれる可能性は低いと結論付けた。 「どちらにしても今はこちらの戦力を整えなければならん。その為には……」 「放送後、スマートブレインに向かう……わかりましたわ」 Back 今は小さく頼りないこの手も 時系列順で読む Next 銀色の夜天(後編) Back Burning Dark(後編) 投下順で読む Back 未知あるいは既知との遭遇 八神はやて Back 未知あるいは既知との遭遇 クアットロ Back 未知あるいは既知との遭遇 シャマル Back Road to Reunion セフィロス Back Road to Reunion ヒビノ・ミライ
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海鳴市ジュニアクラス1 入手カードレベル:9 エリア エリア名 DP EX スタンプ カード1 カード2 カード3 カード4 13-1 T Hショップ交流会1 5 11~21 560~670 アリサ・バニングス[リーダー気質小学生] 八神シグナム[草間一刀流師範代] キリエ・フローリアン[マイペース次女] 13-2 T Hショップ交流会2 月村すずか[海聖小学校生徒] 八神シャマル[研修中医大生] シュテル・スタークス[めがねなし中学生] フォーチュンドロップ A-C 13-3 T Hショップ交流会3 アリシア・テスタロッサ[海聖小学校生徒] のろいうさぎ[ヴィータの宝物] キリエ・フローリアン[マイペース次女] フォーチュンドロップ D-F 13-4 T Hショップ交流会4 プレシア・テスタロッサ[T H店長] 八神シャマル[研修中医大生] ディアーチェ・K・クローディア[成績№1中学生] 13-5 T Hショップ交流会5 アリサ・バニングス[リーダー気質小学生] 八神シグナム[草間一刀流師範代] ユーリ・エーベルヴァイン[優しい末っ子] 13-6 VS アリサ 報酬 レアチケットピース 1枚 マイDPキャンディ 1個 (2200スタンプ) +2013/05/11変更 DP 7 → 5 EX 10~15 → 11~21 海鳴市ジュニアクラス2 入手カードレベル: エリア エリア名 DP EX スタンプ カード1 カード2 カード3 カード4 14-1 T Hショップ交流会6 5 11~21 560~670 月村すずか[読書好き小学生] 八神はやて[八神堂店主] レヴィ・ラッセル[元気系中学生] フォーチュンドロップ A-C 14-2 T Hショップ交流会7 フェイト・テスタロッサ[海聖小学校生徒] 八神ザフィーラ[八神家の愛犬] キリエ・フローリアン[マイペース次女] フォーチュンドロップ D-F 14-3 T Hショップ交流会8 アリシア・テスタロッサ[海聖小学校生徒] 八神はやて[八神堂店主] ディアーチェ・K・クローディア[成績№1中学生] 14-4 T Hショップ交流会9 クロノ・ハラオウン[優等生な中学生] 八神ザフィーラ[八神家の愛犬] シュテル・スタークス[めがねなし中学生] 14-5 T Hショップ交流会10 月村すずか[読書好き小学生] 八神シグナム[草間一刀流師範代] ユーリ・エーベルヴァイン[優しい末っ子] 14-6 VS すずか 報酬 レアチケットピース 1枚 マイMPクッキー 1個 (2300スタンプ) +2013/05/11変更 DP 7 → 5 EX 10~15 → 11~21 海鳴市ジュニアクラス3 入手カードレベル:9 エリア エリア名 DP EX スタンプ カード1 カード2 カード3 カード4 15-1 T Hショップ交流会11 5 12~21 560~670 高町なのは[お部屋着小学生] 八神リインフォース・アインス[資格試験勉強中] レヴィ・ラッセル[元気系中学生] 15-2 T Hショップ交流会12 アリシア・テスタロッサ[T H店長の娘さん(姉)] のろいうさぎ[ヴィータの宝物] ユーリ・エーベルヴァイン[優しい末っ子] フォーチュンドロップ A-C 15-3 T Hショップ交流会13 フェイト・テスタロッサ[海聖小学校生徒] 八神ヴィータ[学校帰り小学生] キリエ・フローリアン[マイペース次女] フォーチュンドロップ D-F 15-4 T Hショップ交流会14 プレシア・テスタロッサ[T H店長] 八神リインフォース・アインス[資格試験勉強中] グランツ・フローリアン[グランツ研究所の博士] 15-5 T Hショップ交流会15 アリシア・テスタロッサ[T H店長の娘さん(姉)] 八神シグナム[草間一刀流師範代] シュテル・スタークス[インテリ中学生] 15-6 VS なのは 報酬 のろいうさぎ[ヴィータの相棒] Lv 20 (2400スタンプ) +2013/05/11変更 DP 7 → 5 EX 10~15 → 12~21 海鳴市ジュニアクラス4 入手カードレベル:9 エリア エリア名 DP EX スタンプ カード1 カード2 カード3 カード4 16-1 T Hショップ交流会16 5 13~21 640~770 フェイト・テスタロッサ[T H店長の娘さん(妹)] 八神はやて[八神堂店主] レヴィ・ラッセル[元気系中学生] 16-2 T Hショップ交流会17 高町なのは[お部屋着小学生] 八神シャマル[ほんのり医大生] アミティエ・フローリアン[フローリアン家長女] 16-3 T Hショップ交流会18 アリサ・バニングス[リーダー気質小学生] 八神リインフォース・アインス[資格試験勉強中] シュテル・スタークス[インテリ中学生] グラーフアイゼン A-C 16-4 T Hショップ交流会19 月村すずか[読書好き小学生] 八神ザフィーラ[八神家の愛犬] アミティエ・フローリアン[フローリアン家長女] グラーフアイゼン D-F 16-5 T Hショップ交流会20 アリシア・テスタロッサ[T H店長の娘さん(姉)] のろいうさぎ[ヴィータの宝物] ユーリ・エーベルヴァイン[優しい末っ子] 16-6 VS フェイト 報酬 ディアーチェ・K・クローディア[王の特訓] ×3枚 ユーリ&レヴィ[末っ子たちの応援] レアチケットピース 1枚 レベルマスタリーN 1個 (2500スタンプ) +2013/05/11変更 DP 7 → 5 EX 10~15 → 13~21
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名前:シャリス・マクレシア 属性:リバ 相手 アッシュ・ディアン 年齢:19 誕生日:2月3日 血液型:A 職業: 性格: 冷静でクールな思考型人間。 基本的に淡白であまり物事に関心を示さない。 常に諦めと達観で物事を客観視している節がある。 人と向き合う時は決まって一線引いてその距離を害した相手には容赦がない。 他人に対しては常に警戒と畏怖や羨望を抱きつつも、それについては無自覚。 争いや諍いが面倒な為、あまり自己主張しないものの根は頑固でプライドが高い。 普段冷静で落ち着いている分、弱いところをつかれると脆い。 容姿: サイドが肩にかかる程度に伸ばされた少し癖のある白灰色の髪。 瞳は切れ長の一重で、色はペールアイリス。 色白で色素的には柔らかい、表情に歳の割りには大人びていて変化に乏しいのでどこか浮世離れした印象。 身長は175センチ。中世的で細身なものの筋肉はついている。。 服は黒のハイネックで袖と裾の長い厚手のシャツにダークグレーのゆったりとしたズボン。 その上から白に一滴薄紫を落としたような薄いラベンダー色のフードつきのローブを着て、その腰元にはポーチをベルト代わりに下げている。 靴は黒のブーツ。装飾品の類は特にない。 一人称:僕 趣味・特技:読書。 嫌い・苦手:紅色。馴れ馴れしい人。 備考: 愛称・シャル。フィリディア出身。 父は王族に連なる者だったが、シャリスが幼いころ王族内の権力抗争に巻き込まれ母と共に他界。 母の姉である叔母のもとで育つ。マクレシアは母の姓。 母親譲りの魔力は強く、感情の起伏でコントロールが出来なくなり暴発してしまう恐れがあるので幼い頃から感情を押し殺してきた結果、淡白な性格に。 魔術は好んで、氷水系を使う。 一応投剣を所持しているものの体術は不得手。 追加メモ: 叔母の名はリディア・マクレシア。 女性ながらやり手で、現マクレシア家当主。 父の姓はクライリウス。 後に自らをシェアトと名付ける魔石の人格が現れる。
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蜜月アン・ドゥ・トロワ みつげつあん・どぅ・とろわ【登録タグ DATEKEN 「使徒」 み デュエット ヴァイオリニスト 鏡音リン】 nana-music.com 楽曲データ 作詞 DATEKEN? 作曲 DATEKEN? 編曲 DATEKEN? 唄 鏡音リン?Append(Warm) 歌唱キャラクター 「使徒」 ヴァイオリニスト 歌詞 (音楽家)誰も居なくなった二人だけの街に (使徒)機械仕掛けの時計が夜の訪れ知らせる (音楽家)夕闇が空をワイン色に染めて (使徒)不慣れな二人を舞台へと誘う (2人)Chasse n Whisk n Natural-Turn (使徒)貴方に魔法をあげる (2人)Throwaway and Oversway (音楽家)その名前は honey mead (2人)蜜月 Un・Deux・Trois 互いの指を絡めて singin swingin sweetest song 二人の夢を奏でる
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首括りの丘へ ◆q4eJ67HsvU …… ………… ……………… アーカムという街が成立した時期にこの地へ移り住んできた者の中には、セイラムからの逃亡者がいたことは既に述べた通りである。 それでは悪名高き近代アメリカ史の暗部、19人もの刑死者を出した忌まわしき事件、セイラム魔女裁判とはいかなるものだったのか。 時に1691年、マサチューセッツ州セイラム村――勤勉な清教徒(ピューリタン)が暮らす小村で事件は起こった。 冬のある日、一人の少女が恍惚状態になったかと思うと、突如金切り声を上げて倒れた。 それから瞬く間に村のあちこちへと少女たちの発作は広まり、ある者は痙攣し、ある者は聖書の言葉を聞くやのた打ち回った。 彼女らの奇矯な行動に村の医者は匙を投げ、こう言った。これらの症状は「悪魔憑き」の仕業だと。 少女たちが清教徒の教えで禁じられていた魔術儀式に参加していたことを知った村人は、彼女達を唆した者がいるに違いないと決め付けた。 やがて一人の黒人奴隷の女が鞭打たれて拷問され、魔術の知識があることを自白した。彼女はカリブのヴードゥーの血を引いていたのである。 村人たちは、少女の豹変に魔術が関わっていることを確信し始めていた。 良識ある者の「少女たちが気を引くためにやっているだけだ」という意見は魔女の肩を持つものだと切り捨てられた。 やがて少女たちが新たに名指しした女達が魔女として告発されたが、村人たちは被疑者を庇おうとはしなかった。 新たに魔女の疑いを掛けられた者たちは、敬虔とは言いがたく人付き合いも悪い、つまはじきにされても仕方ない女だったのである。 当然彼女たちは自らの疑いを否定したが、"悪魔憑き"の少女たちは"魔女"を見るやいなや痙攣を始めた。 ここに村人たちはひとつの結論を下す――少女たちの奇行は魔女の呪術だ。少女たちが奇妙な振る舞いを見せる相手こそ、魔女だと。 そして、悪夢が始まった。 黒人奴隷と二人の女に続く四人目の"魔女"は、誰からも慕われる敬虔な人格者の老婆だった。 誰もが彼女が魔女であるはずがないと思ったが、老婆を見た少女たちは奇声を上げのた打ち回った。老婆は縛り首になった。 その時になって初めて村人たちは、誰もが魔女狩りの標的になりうることに気付いて震え上がったが、もう遅かった。 悪魔憑きの少女たちの振舞いひとつで、何十人という村人が拘束され、裁判に掛けられた。 魔女の仕業であることを認めない者も加担者と判断されて捕まり、やがて吊るされた。 奇妙なことだが清教徒の間では罪の告白は正しい行いとされたため、魔女であると認めた者は減刑され、否定する者ばかりが処刑されていった。 妻の潔白を信じるがゆえに口を噤んだ者もいた。彼は拷問として胸を重石で押しつぶされ、アメリカで始めての合法的な圧死を遂げた。 しまいには裁判や処刑を強行した判事の親族やマサチューセッツ州知事の妻までもが名指しされ、推進派の者たちも次第に疑問を抱いていった。 しかし報せを受けた州知事が帰還して裁判の中止命令を出し、事態はあっけなく終息した。 それまでの間の逮捕者約200名、うち刑死者19名、圧死者1名、獄死者2名。 アメリカ史上最悪の魔女狩りは、結局原因すら定かでないうちに、ただ多くの命を犠牲にして幕を下ろした。 当時絞首台が据えられ、共同墓地への埋葬を拒否された刑死者たちが埋められた丘は「首括りの丘」などと呼ばれていたが、今や知るものは少ない。 ……………… ………… …… ▼ ▼ ▼ 「……気が滅入る話ね」 アーカムの歴史に関わる本には陰鬱なことばかりが書かれていて、流石にぶっ通しで読み続けるとうんざりしてくる。 読みかけの本を栞も挟まずに閉じ、目頭を押さえながらパチュリー・ノーレッジは立ち上がった。 日付はとっくに変わっている。 こんな時間にミスカトニック大学の附属図書館の閲覧室にいる者など、当然パチュリーしかいない。 「ようやくお勉強はおしまいかよ。ったく、いつになったら戦わせてくれるんだか」 「使い手に文句を垂れる刀なんて聞いたことがないわ。鞘に収まっている間ぐらい大人しくしていなさい」 いや、一人では無かったか。 とはいえ、彼を人として数えるのは二重の意味で間違っているようにも思う。 セイバー『同田貫正国』は刀剣の化身たる刀剣男士にして、聖杯戦争において現界した英霊でもあるのだから。 付喪神の一種とはいえあまり格の高い英霊だとは言えないが、パチュリーとしてはサーヴァントは道具として扱えるほうがありがたい。 そう思ってはいるのだが、向こうにとってはパチュリーは理想の主とは言いがたいらしく。 キーパーによって正式な聖杯戦争の開幕が告げられてなお重い腰を上げない様子に、相当フラストレーションが溜まっているようだった。 「ったく。こうやってカビ臭いとこで茶ァしばいてるばかりじゃ、刃が錆付いちまう」 「あら、図書館は飲食禁止よ」 「そういうこと言ってんじゃねえよ」 「じゃ、辻斬りでもしにいく?」 「あんなぁ……」 「冗談よ」 「あんたが言うと分かんねぇんだよ」 霊体化したままぶつぶつと不平を漏らすセイバーのほうへは目をやることなく、読むのを止めた本を書棚へと戻す。 戻しながら、確かに気晴らしは必要かもしれないとパチュリーは思案した。 いくら切れ味のいい刀でも、いざという時に働いてくれないのは困る。 この聖杯戦争において明確な方針を定めていないパチュリーにとって、「いざという時」がいつになるのかは分からないが。 ともあれ、外の空気くらいは吸わせてあげてもいいかもしれない。 ただでさえこのアーカムに辿り着いて以来、ほとんどの時間を図書館への泊り込みで過ごしてきたのだから。 「そうね……とりあえず、これから一度アップタウンのアパートメントに戻るわ」 「おっ! てぇことは、遂に支度を……!」 「シャワーを浴びて服を着替えたら、またここに戻ってくるわ」 「期待した俺が馬鹿だった」 外の空気くらいは吸わせてあげてもいいかもしれない、と思ったから吸わせてあげようとしたのに、それでも不満とは。 パチュリーはずっと一所に留まることに苦痛を感じない性質だが、そうでないセイバーのために無駄ともいえる行動を取るというのに。 むしろ感謝されてもいいぐらいで、がっかりされるのは理不尽だ。 (まったく、戦バカの考えは分からないわ) パチュリーは天井を仰いで溜息をついた。 ▼ ▼ ▼ せめて家族の元に帰してあげようと、ランサー――セーラーサターンは心に決めた。 僅か十二歳相応のものに過ぎない華奢な両腕で、自分よりもずっと背の高い彼女の体を抱き上げる。 全身から力という力を失ったその体は、まるで砂袋を抱えているかのようにずっしりと重い。 魂を抜き去ったのに体が以前より重たくなるなんて、どこか不思議で、そして哀しい。 死体が重く感じるのは、土の下で眠りたがっているからではないかと、ふと思う。 ランサーが彼女――不運にもランサーのマスターであるプレシアに拘束され、他ならぬランサー自身によって魂食いされた女学生―― その遺体を、 魔術的手段による処分ではなく自分に任せてくれないかと進言した時の、プレシアの怒りは凄まじいものだった。 彼女にとってサーヴァントとは使い魔に過ぎず、手に余る力を持っていることが魔術師として許しがたいのだろう。 そして――恐らくはこちらのほうが主たる理由なのだろうが、ランサーが年端もいかない少女であることが、マスターの神経を逆撫でしているようだった。 マスターの意向を無視しようとしたランサーをプレシアは罵り、鞭打ち、デバイスを変化させた鞭程度では傷ひとつ負わせられないと分かると一層憤った。 しかし傷を負わないとはいっても、神秘を帯びた鞭が「痛くない」というわけではない。体も、そして心も。 だからこそ、涙を浮かべて倒れ伏すランサーを見てプレシアも溜飲を下げることとなったのであるが。 しかしそこまでの扱いを受けながら、ランサーの中に「裏切り」とか「見限り」といった選択肢はなかった。 どんなに歪んでいようとも、マスターが聖杯を求める理由が我が子への愛であるのは間違いないから。 だからこそ尽くそうと決めた。そのために戦おうと決めた。たとえ自身が、永遠にマスターから愛されないとしても。 それでも、マスターの願いに巻き込まれて死ぬ人がいれば悲しいし、偽善かもしれなくてもせめて何かをしてあげたいと思う。 (住所はこの人が持っていた荷物から分かったから、そこへ……こんなことでは、私の罪は消えないけれど) 死体の重みを感じながら、ランサーは俯く。 きっと自分が悪いのだ。マスターを説得できなかったのも、魂食いで直接命を奪ったのも、他ならぬ自分。 愛と正義のセーラー戦士、セーラーサターン。こんなことでは胸を張ってそう名乗ることすら出来やしない。 短い丈のスカートを翻して、科学研究棟の屋上から跳躍する。 悩んでも仕方ない。少なくともこの女学生に関しては好きにしていいという許可を得たのだから、出来ることをしよう。 彼女の遺体を見つけることになるであろう両親の気持ちを想像して胸が痛んだが、その痛みを押し殺してランサーは跳んだ。 ▼ ▼ ▼ 夜間の図書館を管理する老いた守衛はもう慣れたもので、閲覧室を後にしたパチュリーが顔を見せるだけで何も言わずとも察してくれる。 七曜の魔女だの図書館の魔女だの、幻想郷の外でまでその手のあだ名が付いて回るのには辟易するが、引き換えに便宜を図ってくれるのは悪くない。 本来ならば人ひとり通してはいけない時間帯に、こうやって堂々と図書館を出入りできるのだから。 パチュリーが帰宅した後はまた通常通り厳重に施錠して、開館時間までは蟻一匹通さないに違いない。 幻想郷の白黒魔法使いみたいなのが出てくれば話は別だが、そうでないなら何事もなく朝を迎えるだろう。 守衛室で時間外利用の書面にサインして、図書館を後にする。 老守衛が飼っている黒い番犬をちらりと見るが、どうやらぐっすり眠っているようだった。 そういえば、何代か前の番犬は魔道書を狙って忍び込もうとしてた怪異を噛み殺したという噂を聞いたことがある。 パチュリーにとっては、こんなところに本物の魔道書があるということ自体が眉唾物なのだが。 「セイバー、念願の外の空気よ。堪能なさい」 『うるせえくたばれ』 霊体化しているというのに、セイバーのふて腐れた表情が見えるようだ。 こちらとしては十分な譲歩をしているつもりなので、パチュリーはそれ以上ご機嫌を取ろうとすることもなく帰路に着く。 帰路、か。 思えば、「自宅と図書館が別にある」という生活は随分と久しぶりに思える。 紅魔館の大図書館で暮らすようになってからはあらゆる時間が本と共にあったから、自宅という概念すら新鮮だ。 生まれながらの魔法使いであるパチュリーは、肉体構造の根幹から魔力によって成り立っている。 当然、生活の全てが、物質的な基盤の上に成り立つ人間とは異なってくる。 もしも自分が人間として生まれてきていたならば、このような生活こそが当たり前だったんだろうか。 そんなつまらないことを考えていたら、見知らぬ区域に足を踏み入れていた。 アーカムの土地の一区画を贅沢に使うこのキャンパス地区は、初めて訪れた者は迷いかねないほどに広い。 とはいえ別に雑然と校舎や研究棟が並んでいるわけではないのだから、ミスカトニック大学に在籍する学生が迷うなどということはない。 本来はない、はずなのだが。 「ねえ、セイバー。私の家の方角、どっちだったかしら」 『知るかよ。なんで通学路を自分で把握してねえんだ』 「図書館の中か、自宅との最短コース以外は生活圏外だもの」 『なんで自信満々でンなこと言えるんだこいつ』 愚痴ったり腐ったり呆れたり、まったく主への敬意に欠けるサーヴァントだ。 仕方ない、とポケットからGPS機能付きのスマートフォンを取り出す。 魔術を使えば一発なのだろうが後々面倒になるのも嫌だし、文明の利器に慣れるのも悪くない。 が、しかし、まったく勝手の違うこのテクノロジーにパチュリーは未だ馴染めずにいる。 現代社会における最低限の知識を聖杯から与えられていることと、その知識を思いのままに扱えることは、似ているようで全く違う。 むつかしい顔をしながらタッチパネルに恐る恐る触れ、地図アプリを呼びだそうと苦闘する。 「術式で動く式神のようなものなのだから、もう少し融通が利けばいいのに……」 何気なしに口にした独り言。 声に出してから、またそれに対してまたセイバーのぼやきが返ってくるのかと思いパチュリーはうんざりした。 が。 返ってこない。 それどころか、霊体化してそばに従っているその気配が、一変している。 先ほどまでが鞘に収まった状態だとするならば、今のセイバーは、まるで抜き身。 武功を挙げるその時を今か今かと待ち構える、戦場の刃だ。 「……セイバー」 「においだ。魔力のにおいがしやがる。探知は得意じゃねえが、この距離なら俺でも分かる」 「サーヴァントなのね?」 「間違いねえな。魔力量が異常だ……気付いてくれって言わんばかりだな」 とうとうこの時が来たか。 パチュリーは、自分が聖杯戦争のただ中にいることを忘れていたわけではない。 しかし、積極的に状況に関わるのはまだ早すぎると思っていただけだ。 戦うことを恐れているのではなく、戦うだけの必然性が薄いと考えていたまで。 しかし――現実は、否応なしに選択を迫ってくる。 「私としては面倒事は御免だし、やり過ごしたいのだけど。言っても聞かないでしょうね」 「冗談だろ? ようやく巡ってきた合戦の機会だ。それにな――」 パチュリーが何か言う間もなく、戦装束に身を固めたセイバーが実体化した。 「――こうして姿を現したからには、あっちも気付いただろ。さっそく進路をこっちに変えてきたな」 「ばっ…………!」 馬鹿なことを、という言葉が最後まで出てくることはなかった。 それよりも先に、紫菫の風がミスカトニックのキャンパスに舞った。 夜間照明の光を浴びて凛と立つその姿は、なるほど英霊と呼ばれるに相応しい清冽さで。 「……セイバーのクラスのサーヴァントと、そのマスターとお見受けします」 風に乗るその声は、まだ年端も行かない少女のものだ。 声だけではない。その菫色の瞳も、切り揃えられた黒髪も、華奢な体も、少女そのもの。 だがその佇まいが、そして何より携えるその銀の鎌矛(グレイブ)が、彼女が人智を超えた存在であると示している。 パチュリーはその場で離脱する線を捨てた。 あの決意を秘めた瞳……すんなりと帰してくれるとは思えない。 「聖杯戦争の理により、名乗りは挙げられませんが……槍の英霊ランサー、主の命により、ここで一戦交えさせていただきます……!」 矛先の白刃が、電灯の明かりで煌めいた。 身構えるパチュリーの隣で、セイバー――同田貫正国が、にいっと笑った。 ▼ ▼ ▼ いずれ戦うことにはなるだろうと思っていたけれど、こんな形でとは。 ランサー、セーラーサターンは凛とした姿を装いながら、内心では当惑していた。 女学生の遺体を彼女の自宅へ運ぶため極力スピードを落として移動する途中、サーヴァントの気配を感じた。 サターンはEXランクの規格外の魔力を保有するが、隠密系のスキルや宝具は一切所持していない。 だからこそ「向こうから捕捉されたかもしれない」という状況は起こりうる可能性として想定していた。 離脱するか否か。一瞬の逡巡の後、マスターであるプレシア・テスタロッサに念話で報告する。 万全の準備をしているならばともかく、遭遇戦はリスクも大きい。 理知的なプレシアならば強行手段は取らないだろう……そう考えていたのだが。 『……そう。ようやく、餌に食いついたというわけね』 「えっ……?」 『貴女が恥ずかしげもなく垂れ流した魔力に、ようやく反応するサーヴァントが現れた。 いいことランサー、マスターもろとも消しなさい。場合によっては、宝具の開帳も許可するわ』 「あ、あの、ちょっと待ってください。餌……? もしかして、私にずっと偵察を命じていたのも、今夜外出を認めたのも――」 『血の巡りの悪い子ねぇ。貴女は浮き餌なの。掛かった魚くらい自分で始末なさい』 その一言で念話はぷっつりと切れた。 ランサーは目を伏せ、唇を噛み締めたが、数呼吸の後に顔を上げ、女学生の遺体を木陰に隠すと気配の方角へ飛んだ。 そして、今。 槍の英霊セーラーサターンは、敵サーヴァント――セイバーと対峙している。 油断なく相手を観察する。 武器は日本刀。全身に身に付けているのは黒を基調とした甲冑具足。 ほぼ間違いなく、戦国時代から江戸時代をルーツとする日本の英霊だろう。 全身から立ち上る殺気もその推測を裏付けする。 戦場の血を求めるあのぎらつく眼差しは、戦うために生まれた戦士の証。 「――ガキを斬る趣味はねェが、武士(もののふ)ならば話は別だ」 セイバーがゆっくりと口を開く。 その表情を見て、ランサーは眉をひそめた。 笑み。獰猛な笑み。死合を求める渇きと歓喜。 その身を使命に捧げたセーラーサターンにとって、戦士の宿命は戦いの歓びとは無縁のもの。 眼前の英霊が自分とはまったく別の価値観を持つことを、直感で理解する。 理解して、ランサーはグレイブの柄を固く握った。 「こっちも名乗れねぇのが残念だ。もっとも、名乗るほどの英霊でもないがな」 セイバーが、じり、と片足を踏み出す。 その無骨な刀の柄から、刀身の先まで戦意の脈動を漲らせる。 相対する二者。 その只中で、空気は凍結したかのようにその動きを止め――。 「だがなこの首、安くはねぇぞ――それでも欲しけりゃ、死ぬ気で来なァ!!!」 瞬間、ふたつの刃が奔った。 「キエェェェアッ!」 「はぁぁぁぁーっ!」 激突。 神速で振り抜かれた刀の剣筋を、守りの軌道を描いたグレイブが弾き逸らす。 続いて剣閃。 鳴動。 火花散らす刃と刃。 目の当たりにするセイバーのマスター――パチュリー・ノーレッジ――には、既に一太刀一太刀は追えていまい。 伝説でしかあり得ない、人の領域を踏み越えた剣戟。 しかし、それこそが英霊であった。 人類史の記憶から召喚された存在、サーヴァントたるものであった。 そは、永久(とこしえ)に横たわる死者にはあらず。 今ここに顕現している彼らこそが、人智を越えた本来触れ得ざる神秘である。 セイバー、同田貫正国の剛の剣が大気をも二層に断ち割らんとする勢いで吼える。 ランサー、セーラーサターンのグレイブは流麗に流れる風のように舞い、太刀筋を躱して敵に迫る。 「悪くねぇなガキんちょ! だがそいつじゃ俺は殺せねぇッ!」 「それでも、倒します……マスターの願いのため、負けられません!」 唸る神秘と神秘。 刃の姿をとった伝説が、互いを裂かんと交錯する。 その衝突は、一見にして互角。 しかしそう感じていたのはパチュリーただ一人だっただろう。 わずか十秒足らずの間に数え切れないほどの刃を交えたのち、ランサーが飛び退き距離を取った。 グレイブを構え直すその表情は僅かに翳り、対するセイバーは未だ戦意に満ち溢れている。 ――優勢なのは、同田貫正国であった。 同田貫は刀剣男士、それも戦うためだけに鍛え抜かれた実戦刀の付喪神である。 荒々しく無骨極まりない太刀筋は美麗と呼ぶには程遠いが、しかし相手を切り捨てるための剛毅の剣。 勇猛スキルと擬似的な心眼スキルによって高められた剣技は、確かに相手の生命を狙う。 対するセーラーサターンは、本来槍の武勇をもって知られた英霊ではない。 最優と名高いセイバーのクラス相手に打ち合うことは出来る。しかし、もう一歩が届かない。 白兵戦闘向きのスキルも持ってはいない。即座に敗北することこそ無くとも、時間を掛ければ追い込まれるのは必至。 ただただ剣戟を重ねる限りは、ランサーに勝ち目はない――。 「……あなたは、何のために戦っているのですか、セイバー」 「あ?」 「マスターのためですか? それとも、貴方自身の願いのためですか……?」 距離を一定に保ちながら、セーラーサターンは同田貫正国に問う。 これは体勢を立て直すための時間稼ぎでもあったが、同時にランサーの本心から出た問いでもあった。 セイバーは意表を突かれた顔をしたが、すぐに元の獰猛な眼差しへと戻る。 「――どっちでもねえよ」 「どちらでも、ない?」 「ああ。俺は戦うために生まれた。だから戦う。斬るために生まれた。だから斬る。 それだけだ。この上なく単純だ。俺に言わせりゃ、誰のためだの何のためだの……。 戦場にその手の感傷を持ち込むなんざ無粋極まりねぇ。斬るか斬られるか、それだけだろうが」 彼の答えは、彼の太刀筋と同じぐらいに無骨にして明快であった。 しかしそれは同時に、セーラーサターン――土萠ほたるという少女にとって共感し得ない答えだった。 「……分かりました。答えを聞けばもしかしたらと思いましたが、やっぱり私、あなたには歩み寄れない」 「だったらどうする?」 「滅ぼします。我が全力を懸けて」 宣言。 明確な拒絶であるその言葉を聞き、しかしセイバーの顔に浮かんだのは歓びだった。 「いい面構えじゃねえか。かかってきな――正面から叩き斬ってやる!」 「……言われるまでもありません!」 ――セーラーサターンは、武勇で知られた英霊ではない。 武勇をもって決着を求める限り、実戦刀の英霊である同田貫正国に勝ち目はない。 ならば、本来の使命――"破滅の使者"に相応しい戦い方をするまで。 「――――真名、開放」 魔力が、銀の戦鎌に集中する。 稲妻のような炸裂を繰り返しながら、その宝具が真の力を取り戻す。 「《沈黙の鎌(サイレンス・グレイブ)》――――――!!」 英霊が名を呼ぶ、その時、伝説は蘇る。 ▼ ▼ ▼ ――その瞬間、パチュリー・ノーレッジは奈落へと足を踏み外すような感覚を味わった。 真名開放。 サーヴァントの宝具の名を詠唱し、伝説における力を再現するという神秘。 名前には古来より力が宿る。真なる名で呼ばれたものは真なる伝承を取り戻す。 パチュリーも当然知識として持っている。聖杯戦争における位置付けも理解している。 曲がりなりにも百年を魔道に捧げた魔女だ。今更そんな神秘ごときで動揺などするはずがない。 するはずが、ないのに。 (……なに、これは……なんなの……震えている? 私が?) ランサーの宝具、『沈黙の鎌(サイレンス・グレイブ)』と呼ばれたあの宝具。 先ほどまでとは見違えるほどの魔力量を漲らせるその武器に、視線が吸い寄せられる。 あれは、滅びだ。滅びの具現だ。 破滅という、命あるものならば誰もが畏れる概念。その実体だ。 (そんな……私が、この私が……怯えている? 恐怖しているの?) それはほとんど直感だった。あるいは本能と呼んでいいものかもしれなかった。 人間が動物的な能力として持っているもの――種族:魔法使いであるパチュリーには、今の今まで無縁だったもの。 (はあっ……はあっ……はあっ……はあっ……) 自身の荒い息に苛立つ。 しかしそれすら自力では制御できないことに気付き、そのことに底知れぬ恐怖を覚えた。 認めざるを得ない。パチュリー・ノーレッジは、神秘を前にして怯えている。 無明の闇の中へ無限に落ち続けているような感覚。 思考が狭窄していくのが分かる。しかし自分でもどうにもできない。 (殺さないと……あいつを殺して、この恐怖の根元を絶たないと……!) 聖杯戦争に乗り気でなかった自分からこのような考えが出てくる、そのことへの疑問すら今はなかった。 ただこの異常な状況を切り抜ける、それだけが今のパチュリーの行動原理のほとんどを占めていた。 もはや出し惜しみしている場合ではない。声を張り上げて、セイバーへ命令を飛ばす。 (――宝具の使用を許可する! 一刻も早くそいつを斬り捨てなさい、セイバー!) ……命令を飛ばした、つもりでいた。 セイバーが全く反応を示していないことに疑問を抱き、その直後、パチュリーはその理由に思い当たった。 がちがちがちがちがちがちがちがち。 パチュリーの口から漏れていた音は、それだけだった。 恐怖で歯の根が合わず、打ち合わされるだけの音。言葉ではなく、ただそれだけ。 (そんな……! そんな屈辱! 魔女と呼ばれた私が、魔力に怯えて声も出せないなんて……!) 足元がぐらつく。 世界が揺らぐ。視界だけでなく、パチュリーの魔術師としての矜持もまた。 それでも視線だけは、滅びの魔力を迸らせるランサーの宝具へと吸いついていて。 その視線の先のランサーの瞳が、何故か驚愕に見開かれていて。 直後、ランサーの表情に何かを察して振り返ったセイバーが、必死の表情でパチュリーに叫んだ。 何故かパチュリーには聞こえなかったが、しかし何かを警告していることは理解した。 セイバーの視線を追うように目を上げ――そして。 その警告の意味を、理解した。 空が裂けていた。 その隙間から、膨大な魔力が落雷となって、パチュリーの体を打とうとしていた。 防御呪文の詠唱が間に合わない。 それどころか、今の状態では声を出すことすら危ういだろう。 為す術が、なかった。 ただ己の無力に呆然としたまま、パチュリーは迫り来る紫電を見上げていた。 ▼ ▼ ▼ 「……マスター」 『何かしら?』 そこはすでに戦場ではなかった。 ただ一人残ったセーラーサターンは、念話で己の主へと連絡を取っていた。 「マスターが空間跳躍魔術で、相手のマスターに直接攻撃したことです」 『あなたが足止めしてくれていたおかげで、相手の座標に合わせて攻撃できた。功績といえば功績ね。褒めて欲しいのかしら?』 「い、いえ……違います。あの……あれは、私ひとりではセイバーを倒すには力が及ばないと……そう考えてのことのですか?」 『はぁ……理解が足りないようね、ランサー。私は戦士でもなければアスリートでもなくて、魔術師なの。 貴女にセイバーを倒す力があろうがなかろうが、より確実に勝てる方法を選んだだけ。つまらないことを訊かないで』 ランサーは項垂れた。 どちらにせよ、プレシアがランサーを信頼していないことは間違いないようだった。 少なくともプレシアからは魔術師としての客観的な視点で、英霊として高水準であると評価はされている。 しかしそれだけだ。そこに、信頼は伴わない。 どれだけの力があろうと、ランサーに任せるよりも自分で手を下すほうが「確実」。 そう思われている限り、ランサーの献身は報われることはない。 『ところで、ランサー。あの死体、まだ手放したりはしていないわよね?』 「は、はい……あの、それがなにか……?」 思いがけない言葉に、はっと顔を上げて答えるランサー。 それに対する返答は、彼女を困惑させるには十分だった。 『使い道を思いついたわ。捨てに行くのは止めにしなさい』 「えっ……?」 『あれを使って燻り出すのよ。貴女が愚鈍にも取り逃がした、セイバーとそのマスターをね』 ……取り逃がした、セイバーとそのマスター。 あの時。 プレシア・テスタロッサの空間跳躍を利用した落雷魔術は、確かに敵マスターを打ったはずだった。 しかし、一瞬だけ遅かった。いや、セイバーの動きが一瞬だけ速かったと言うべきかもしれない。 結果としてセイバーは茫然自失のマスターと落雷との間に割って入り、その身を縦にして主を守った。 それからの引き際は、鮮やかの一言だった。 あれほどまでに戦いに執着していたというのに、ランサーを振り返ることすらせずにこの場を離脱していった。 主のために戦うのではないと言いながらも、躊躇わず主のために行動できる英霊。 彼に対する認識を変えなければならないのかもしれないが――。 『仕留め損ねた理由は分かっているわね、ランサー』 「は、はい……私がマスターの奇襲に動揺してしまって……それをセイバーに感づかれたからです」 『その通りよ。主の足を引っ張ることに関しては天下一品ね、ランサー。大した英霊だわ』 「……………………」 皮肉に対して言い返そうという気持ちも湧かなかった。 どんなに卑怯に見えようと、真名開放で発揮された神秘に動揺したマスターを奇襲で討つのは上策だ。 みすみす勝機を潰してしまった……ランサーにとってそれが事実なのは間違いなかった。 『戻ってきたら、鞭打ちよ。使えない犬に、正しい主との関係について教育してあげる』 「…………はい」 『それが終わったら……吊るしにいきましょう。貴女が持ち帰るはずのものを』 「――吊るす?」 聞き間違えかと思ったが、プレシアの続く言葉はその期待を冷徹に塗り潰した。 『こんな時間に大学施設の出入りを許されている学生は多くない。在籍者ならば、すぐに目処は立つわ。 もっとも既に私の中で候補はいるのだけど。例えば神秘学科の新星、"七曜の魔女"とかね』 「魔女……」 『そう、魔女。だから吊るすの。アーカムに暮らす人間なら、言い伝えくらいは聞いたことがあるでしょう。 このアーカムに、新しい"首括りの丘"を作るのよ。これから始まることのためにね』 主の表情は伺えなかったが、きっと厭な微笑みを浮かべているのだろうと、ランサーは思った。 ▼ ▼ ▼ 「ここは……」 「あんたの自宅だ。ったく、なんで俺のほうが道に詳しいんだか」 パチュリーは、自室のベッドでゆっくりと体を起こした。 まだ頭がぼんやりとしている。セイバーが自分を抱えて、ここまで連れて来てくれたのだろうか。 思考が巡らない状態でパチュリーは実体化して傍に控えるセイバーを見、その甲冑が焼け焦げていることに気付いた。 「あなた、それ……!」 「ああ、これか。結構いいのをもらっちまってな。対魔力もDランクじゃマスターにすら抜かれちまうか、情けねえ」 「……大丈夫なの?」 「サーヴァントの肉体を構成するのは魔力だ。あんたから十分な供給が来てる以上、あとはツバつけときゃ治る」 今まで通りの皮肉混じりの返しをする気も、今は起こらなかった。 だんだん思い出してきた。初めての敵サーヴァントとの邂逅、そして――自分の、致命的な失態。 「――――なんて、屈辱」 掛け布団を握りしめ、無表情を取り繕いながら項垂れる。 百年を生きた魔女が、このパチュリー・ノーレッジが、まるで人間みたいに神秘を前にして怯え、震えた。 その結果として敵の不意打ちを許し、あわや死ぬ間際まで追い詰められ、そして自分のサーヴァントに傷を負わせた。 セイバーへのダメージが大きい小さいの話ではない。これは魔術師としての矜持の問題だった。 「この聖杯戦争は、まともじゃない。知っていたはずなのに……分かっていたはずなのに」 冷静な傍観者を標榜していたつもりが、このザマか。 なんて情けない。それでも紅魔館の魔法図書館の主か。百年の時を経て、辿り着いたのがこんな姿か……。 「なあ、おい」 「……何? 私は今、それどころじゃ……」 無神経なセイバーの呼びかけに思考を中断され、パチュリーは苛立った声を上げる。 それを無視してセイバーはパチュリーの顔へと無造作に手を伸ばし――その額を、思いっきり指先で小突いた。 「むきゅっ!?」 「バッッッッッッッッッカか、テメェは」 目を白黒させるパチュリーに、面と向かって身も蓋もない言葉を浴びせるセイバー。 「いいか、俺は刀だ。戦うことしか出来ねえ。だがあんたがいなきゃ戦えねえ。だから助けた」 その刀を握ることしか知らない指で、パチュリーを指差す。 「俺は考えねえ。迷わねえ。そういうのはあんたの仕事だ。だから好きに考えたり迷ったりすりゃあいい。 だがな、戦場で命を拾ったってことは、次があるってことだ。どれだけ悔しがろうが、いずれ次の戦は来る」 「…………次の、戦」 「そうだ。だから、次は勝て。狂気には、あんたの心で抵抗するんだ。そうすりゃ俺は、あんたの代わりに敵を斬れる」 抵抗。 久しく、自分に関わるものとして聞くことのなかった言葉。 だが、セイバーの言葉は単純で、それゆえに真実だった。立ち向かわなければ、飲み込まれるだけ。 「そうね……その通りだわ」 まったくこんな戦バカに説教されるとはね、と自嘲する。 そうだ、失った矜持は取り返せばいい。真の敗北はまだ訪れてはいない――まだ生きている。 奇妙なことだが、この生命の実感もまた、随分と長い間忘れていた感覚だった。 「……セイバー。休息を取ったら、また大学に行くわ」 「また本の虫か?」 「そうね……結果的にそうなるかもしれない。それでもこれまでとは目的が違う。 魔女の名に懸けて、やられっぱなしでは終わらない。ランサーのマスターは私達が見つけ出す」 想定外の言葉を聞いたとばかりに目を見開くセイバーを見て、パチュリーはかすかな微笑みを浮かべた。 「まずはランサー。あるいはその次。そうやって聖杯戦争の核心に近付いていけば……いずれからくりが見えてくる」 「つまりは、謎解きか?」 「噛み砕けば、そういうことね」 「なるほどな。あんたは考える。俺は斬る。悪くねえ」 さっきの戦は満足行くまで戦えなかったからな――そう言って、セイバーはニヤリと笑った。 奇妙な感覚だと、パチュリーは思わざるを得なかった。 この野蛮で獰猛な英霊が気が合う相手だとはとても言えないのに、それでもこの感覚は――。 「――ええ、悪くない。だからこそ必ず見つけるわ、納得の行くだけの答えをね」 知識と日陰の少女にとっての聖杯戦争は、この時になってはじめて幕を上げた。 【アップタウン・アパートメント(パチュリー自宅内)/一日目 未明】 【パチュリー・ノーレッジ@東方Project】 [状態]健康 [精神]瞬間的ショック(怯え、ほぼ回復) [令呪]残り三画 [装備]なし [道具]なし [所持金]大学生としては余裕あり [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争に関わり、神秘を探る。 1.夜が明けたら大学へ。 2.ランサーのマスター、あるいは他の参加者を探り出す。 [備考] ※ランサー(セーラーサターン)の宝具『沈黙の鎌(サイレンス・グレイブ)』の名を知りました。 【セイバー(同田貫正国)@刀剣乱舞】 [状態]背部にダメージ(軽) [精神]正常 [装備]日本刀 [道具]なし [所持金]なし [思考・状況] 基本行動方針:敵を斬る。ただそれだけ。 1.敵を見つけたら斬る。 2.面倒な考え事は全てマスターに任せる。 3.負傷は早めに治して次の戦に備える。 [備考] ▼ ▼ ▼ ――アーカムの歴史は、アメリカ史最後にして最悪の魔女狩りと共に始まった。 今を生きるアーカム市民にとっては、ただの古臭い御伽話か、馬鹿馬鹿しいタブーの類に思えるだろう。 しかしその歴史は、天井に滲んだ染みのように、ふとしたきっかけで見上げるたびに思い出されるものだ。 セイラムからここアーカムに逃れた最後の魔女は、魔女裁判の熱が収まったのち、怒れる民衆によって縛り首にされたという。 あたかもその史実の再現であるかのように――ミスカトニック大学のキャンパスの一角で、少女が木からぶら下がっている。 昨日までは極普通の日常を送っていたはずの彼女は、今は物言わぬ骸となって、枝と首とを結ぶ縄に体重を預けていた。 朝になれば、学生や教員たちがその姿を見つけるだろう。そして彼女は地上へと降ろされるだろう。 だがミスカトニック大学は、怪異に慣れすぎている。少女の首吊り程度では、その機能を止めたりはするまい。 しかし。 少女の骸には――魔力の残滓が、魔道に関わるものならば見過ごすはずのない痕跡が宿っていた。 これは挑発だった。あるいは警告であり、そして宣戦だった。 これよりアーカムで魔女狩りが始まる。 次に吊るされるべきは誰だ。次に死すべきは誰だ。 "セイラム"を忘れるな、魔術師ども……と、そう告げている。 ――風が吹いた。ぎしり、と音を立てて、少女の躯が揺れた。 【キャンパス・大学研究棟(テスタロッサ研究室・工房内)/一日目 未明】 【プレシア・テスタロッサ@魔法少女リリカルなのは THE MOVIE 1ST】 [状態]健康 [精神]精神汚染:E [令呪]残り三画 [装備]ミッドチルダ式ストレージデバイス [道具]大学教授としての衣服および所持品 [所持金]豊富 [思考・状況] 基本行動方針:ミスカトニック大学に潜むマスターを燻り出し、殺す。 1.深夜の施設利用を許されているパチュリー・ノーレッジをマスター候補として警戒。 2.それ以外にも「罠」に反応する大学関係者がいないか観察する。 3.セーラーサターンに対して強い不信感。 [備考] 【ランサー(セーラーサターン)@美少女戦士セーラームーンS】 [状態]健康 [精神]正常、消沈 [装備]『沈黙の鎌(サイレンス・グレイブ)』 [道具]なし [所持金]なし [思考・状況] 基本行動方針:マスターへの献身。 1.プレシアの願いを叶えるために尽力する。 2.マスターの信頼を得たい。 [備考] ※キャンパス内の目立つ場所に、女学生の遺体が首吊りを模して木に吊るされています。 魔術師あるいはサーヴァントであれば、魔力の痕跡から聖杯戦争の関係者の仕業であると分かると思われます。 BACK NEXT 001 蒼い空 投下順 003 選択 OP 運命の呼び声~Call of Fate~ 時系列順 010 妖怪の賢者と戦姫 BACK 登場キャラ NEXT OP 運命の呼び声~Call of Fate~ パチュリー・ノーレッジ&セイバー(同田貫正国) 016 BRAND NEW FIELD プレシア・テスタロッサ&ランサー(セーラーサターン) 018 昏濁の坩堝へと
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スザンヌ・プレシェット 名前:Suzanne Pleshette 出生:1937年1月31日 - 2008年1月19日 職業:女優・声優 出身:アメリカ 出演作品 1960年代 1966年 猛犬ご注意*(フラン・ギャリソン) 1967年 黄金作戦 追いつ追われつ*(アラベラ・フラッグ) 1968年 黒ひげ大旋風(ジョー・アン・ベイカー):土井美加 1970年代 1976年 新・ぼくはむく犬*(ベティ・ダニエルズ):一城みゆ希 1990年代 1998年 ライオン・キング2 シンバズ・プライド(ジラ):中村晃子 2000年代 2000年 ★The Lion King Simba s Mighty Adventure*(ジラ) 2002年 千と千尋の神隠し*(湯婆婆、銭婆):夏木マリ
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_ , - ´ __` ー 、 _ / o ~~ tっ ∠ ̄ __  ̄`ヽ、 _ -‐ ´ ̄ ̄` ー、/ ,二二、ヽ└ ' └' \ / _ 0 / ( } !_, -─- ⊥_ ! _ └‐' _,L. 二二二. _ | r、ヽ '、└ 'r 、 / └ ' ̄`ヽ 0 ´ l \ ` / r┐ ヽ rー 、 j ` ー1 rヘ. `´ r'コ | ` ´_, ノ \ ` ′ └′_,/` ー ´ |`ー 、 ____, -‐ ´ ヽ '、 ノ 0 0 _,ゝ-─ 、 `| ャ┐ _ 、 _ ノ '、 ´ f′ ヽ 「 ̄ \ l レ ′ ` T T~ヽ、 | _ - ´ ,} ` ´ { /  ̄ ̄┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓┃名前:ラフレシア┃性別:女性┃ランク:☆┃配合回数:4┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓┃HP:63┃基礎ダメージ:1┃ランダムダメージ:1d1┃敏捷力:70┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓┃《特技名/種類/説明》┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫┃しんぴのまもり┃補助┃味方単体を神聖状態にして、敵からの特技(妨害)を無効化する。1戦闘1回。┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫┃まもる ┃防御┃この特技は必ず先攻で発動する。このターン、敵からのダメージを0にする。1戦闘1回。┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫┃めざめるパワー┃特殊┃自身のランクを変える。戦闘終了時に元に戻る。┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫┃にほんばれ ┃特殊┃フィールドの天気を『晴れ』にする。ただしこの特技が封印、破壊された時、効果は消える。┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓┃《タイプスキル/種類/発動回数/説明》┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫┃ようりょくそ┃補助┃天気が『晴れ』の間、常時自身の敏捷力を+70(控)┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫┃ほうし┃補助┃天気が『晴れ』の間、毎ターン開始時に味方全体の基礎ダメージ+5(控)┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫┃快晴┃特殊┃天気が『晴れ』の間、名前に『水・氷』が入った特技・スキルは封印状態になる(控)┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
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このサイトは司さんが作ったやる夫は皇帝ではなく王様のようですシリーズのifの世界を描く [ifのやる夫は皇帝を引継ぐようです] のセッション卓です ルール⇒http //www7.atwiki.jp/iguru/pages/1.html h_session @Wiki サガフロTRPG⇒http //www2.atwiki.jp/h_session/pages/7484.html GGM [とりあえず] 新規参加:可 参加資格:PCにAAがあるキャラで作成すること 禁止事項:喧嘩、及び他人に不快感を与えるようなこと 二重セッションは原則禁止とします エロ方針:GMとPL間で良しとするなら可 if卓雑談・要望ページ if卓 セッション開催予定日時表 世界観 この世界はやる夫は皇帝ではなく王様のようですシリーズの世界で ”もしも アルベルトが 生き残っていたら” という分岐から始まる世界である 特別ルール [部分編集] キャラクター 第1章PC [部分編集] PC名 PL名 種族 性別 年齢 セッション参加回数 プロフィール・その他 やる夫 端島司 人間 男性 40 8 今回はアバロン帝国皇太子(おうぢさま) ルーク・エインズワース ジン 人間[ヒーロー] 男性 22 10 大剣を扱える鍛冶師 ※変身もできる クロコダイン りざーどめん 獣人 男性 17 1 メイン盾を望む青年 水銀燈 dosilver 人間 女性 19 8 牝娘なアバロン皇女 レミリア [とりあえず] 人間(ただし本人は吸血鬼と言い張る) 女性 14(ただし本人は500歳と言い張る) 7 中二病末期 島津豊久 御影 人間 男性 19 15 妖怪首置いてけ アルクェイド つかねこ 半妖 女性 15 2 バーサーカー カミュ・アクエリアス にゃんシロ 人間 男性 20 1 新人宮廷魔術師 エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル 愚 妖魔 女性 60 1 封印された元ミニオン 美筆 やらない夫 い~ぐる エスパー 男 42 1 旅の遊び人兼術師 レイナ・ヴァンス じゅね 人間 女性 16 8 流浪の剣士・二代目トルネード 風霊使いウィン けぃ 妖魔 女性 16 0 設定構築中 第2章PC 第2章キャラ作成ルール 技術点300点 初期所持金5000cr で第1章のPCをリビルドかセカンドキャラの作成 1章で作成した鍛冶アイテムは購入可能 [部分編集] キャラクター PC名 PL名 種族 性別 年齢 セッション参加回数 プロフィール・その他 四楓院夜一(仮面ライダースカル) [とりあえず] 人間(ヒーロー) 女性 44歳 5回 探偵兼何でも屋兼スパイ兼仮面ライダー 間桐慎二 端島司 エスパー 男性 18歳 2回 母(ライダー)と妹(桜)に逆レされる人生を送る可哀想なワカメ 螢光燈 dosilver(色銀) 人間 女性 17歳 0回 楽天、快楽主義者でハイテンションな異世界人。 星熊勇儀 じゅね 人間 女性 65歳 4回 バルハラント出身の酒飲みBBA ウォーロック りざーどめん 魔物 男 ?? 0回 封印の地から抜け出した悪霊 ティーセルス けぃ 上級妖魔 女 82(16) 0回 オルロワージュがヤリ捨てした女の娘 鳴上総司 御影 人間 男性 17歳 4回 ペルソナ使い(謎) 高嶺清麿 ジン 人間 男性 18歳 3回 大学院の見習い軍師 リニス リリ 妖魔 女性 ?歳 3回 野良使い魔 レックス Cyphiss 人間(ヒーロー) 男性 20代半ば 0回 旅の傭兵先生 羽川翼 愚 半妖 女性 17歳 4回 アバロンの文官娘 にゃん太 つかねこ サイボーグ 男性 ??歳 3回 猫隠居 ラウラ・ボーデヴィッヒ 初里 半妖 女性 16歳 12回 ツンボケエリート アイギス OUR メカ 女性 外見10代後半 3回 記憶損傷中の機械娘 ルーミア な-まけ-もの 魔物 女性 外見10歳前後 1回 行き倒れはらぺこ幼女 NPC 冥王ホライゾン編 [部分編集] セッション履歴 日時 セッション名 参加PC名 技術点 報酬 鍛冶 ボス 備考 2012/6/3(日) 開幕 やる夫 水銀燈 ルーク カミュ 豊久 56 1200 753 富竹 2012/6/6(水) 老龍 やる夫 水銀燈 ルーク 豊久 やらない夫 82 1500 1065 ラオシャンロン 2012/6/7(木) クジャラート境域にて レミリア ルーク 豊久 63 3000 1260 澤永 GM:色銀。セッション中のボーナス込 2012/6/12(火) 太陽時々月 やる夫 水銀燈 ルーク 豊久 クロコダイン アルクェイド 96 1800 1328 ホウオウ・ルギア NPC エドワード・エルリック/アルフォンス・エルリック/射命丸文 追加 2012/6/13(水) アバロン地下水道調査 レミリア ルーク 52 1500 1000 イカ娘 GM:色銀 2012/7/10(火) 腐海 やる夫 水銀燈 ルーク 豊久 72 1300 700 音無小鳥 NPC:ルルーシュ/ナナリー 2012/7/14(土) 密盗 やる夫 水銀燈 ルーク 豊久 レイナ 52 レイナ104 1600 144 バンデット・キース NPC:ジャック・O 2012/7/15(日) アバロンにアヴァロンが 水銀燈 レミリア レイナ 75 1000 500 オルトロス GM:ジン バンガード(北大陸のとは別のもの)を入手 2012/7/20(金) 蛇 やる夫 水銀燈 アルク エヴァ レイナ 84 アルク エヴァ 134 1600 500 富竹 翠星石 2012/7/21(土) 麒麟の角 ルーク 豊久 レミリア レイナ 70 2500 1076 イワーク GM:色銀。バンガード=アヴァロン復旧の1。国庫も潤った。追加ボーナス有 2012/7/25(土) 採石場にて ルーク 豊久 レミリア レイナ 96 2420 1528 ジンオウガ GM:色銀。バンガード=アヴァロン復旧の2。追加ボーナス有 2012/8/9(木) 嫌われ封じられたモノ 豊久 レミリア レイナ ウィン 92 1500 1220 ゼラチナクリエイター GM:ジン。龍の穴の存在が明らかに 2012/8/17(金) 後顧の憂い やる夫 水銀燈 レミリア 豊久 レイナ 100 1000 980 T.T GM:ジン。 2012/8/18(金) 海底の塔 やる夫 ルーク 豊久 レイナ 125 2250 850 水龍(ロマサガ2) GM:色銀。エスパーガール、薫登場 2012/8/27(月) 実戦式塔攻略訓練 レミリア 60 1450 500 (無し) GM:色銀。ソロセッション。空中世界『ヒメル・ラント』到達。 2012/8/30(木) 死してなお、望む者 やる夫、水銀燈、ルーク、豊久、レミリア 248 10600 1060 村岡隆 GM:じゅね 2012/9/3(月) 塔攻略編・海洋世界へ ルーク 114 4500 1400 鉄巨人 GM:色銀。ソロセッション。海洋世界『アクアリス』到達。 2012/9/16(日) これから やる夫 水銀燈 豊久 ルーク レイナ 142 2700 1180 暴走初号機 第一章最終回 2012/9/18(火) 北半球への航海 やる夫 水銀燈 レミリア ウィン 100 2000 500 横島 GM:ジン。北世界への航路確立。 2012/10/27(土) 寄生するもの やる夫 ルーク 豊久 レミリア リニス(2章キャラ) 132 4000 1120 本多忠勝 鹿角 GM:じゅね。冥王ホライゾン編第1話 2012/10/29(月) 【鏡の戦】 レミリア レイナ 150 2000 500 鏡像達 GM:ジン 閃き天国「龍の穴」第三段 第2章 2012/9/28(金) 暗躍 蛍光塔 勇儀 清麿 総司 42 1700 500 クリスタルスカル 第2章開始 2012/10/22(月) 【修行】 蛍光塔 慎二 リニス 総司 75 1400 500 リュウ(ストⅡ) GM:ジン 閃き天国「龍の穴」 2012/10/24(月) 【派遣】 勇儀 夜一 60 1500 500 プリプリマン GM:ジン 閃き天国「龍の穴」第二段 2012/11/05(月) 【始まり】 ニャン太 勇儀 慎二 羽川 清麿 76 4000 500 ワグナス 第2章2話 参加者各員にまんまるドロップ 2012/11/27(火) 【魔石】 勇儀 夜一 リニス ラウラ 75 1400 500 三つ首犬 GM:ジン 金稼ぎシリーズ第一弾 2012/11/28(水) 【我は汝、汝は我】 総司 41 3000 500 足立(マガツイザナギ) GMじゅね 総司のペルソナ覚醒兼嫁話 2012/12/4(火) 【「とある魔女の宅急便屋のおねがい」】 にゃん太 羽川 清麿 ラウラ 50 5000 1400 双嬢 GMじゅね 白嬢・黒嬢製作&採掘紀行 2012/12/10(月) 【密売】 にゃん太 羽川 勇儀 ラウラ 70 1500 680 澤永 GM:ジン 「龍の穴」※以降は禁止 2013/01/19(土) 【お騒がせバウンティハンター】 夜一 総司 清麿 ラウラ 90 3000 640 ブリジット&アイリ じゅねGM はた迷惑なレイナの妹?襲来 2013/02/24(日) 【心のかけらと守護者・1】 清麿 慎二 総司 にゃん太 羽川 ラウラ 96 1200 780 葵喜美&ローズセラヴィー じゅねGM 冥王ホライゾン編第二話 2013/03/06(水) 【機械少女はぱよえーんの夢をきっと見ない】 アイギス レックス 清麿 総司 ラウラ 117 3300 600 ドラコケンタウロスおよび球体紳士 じゅねGM ぷよ退治のためにドラコケンタウロスを倒す 2013/05/05(日) まっかーなつきーにじごくのほのおー アイギス 清麿 ラウラ 勇儀 176 4600 1380 パチュリー(マッチョリー) かりちゅま 2013/06/08(土) 【龍の穴に眠るもの】 アイギス 慎二 夜一 清麿 総司 ラウラ 46 900 940 キヨナリウルキアガ じゅねGM 冥王ホライゾン編第3話 蒼龍の神器を回収 2013/06/17(月) 【雷の竜】 清麿 42 1000 500 バオウ・ザケルガまたは壁 じゅねGM 清麿の赤い魔本入手シナリオ 2013/10/01(火) 【水を操るもの(心のカケラと守護者・2)】 アイギス 総司 羽川 夜一 ラウラ 61 700 680 水のガロウィン じゅねGM 冥王ホライゾン編第4話 2013/12/14(土) 【海から来るもの~艦これ~】 アイギス 清麿 総司 ラウラ ルーミア 55 1100 670 空母ヲ級(加賀素体) じゅねGM 深海棲艦侵略 2013/12/22(日) 【天道地獄】 総司 にゃん太 羽川 ラウラ 102 1800 680 アカツキ(ログホラ) アデーレ(境ホラ) じゅねGM 天道地獄に憑依された二人を救出するセッション キャラクターチャット履歴 日時 参加PC名 技術点 報酬 備考 2012/6/2(土) やる夫 ルーク クロコダイン 水銀燈 レミリア 島津豊久 カミュ やらない夫 +8点 すり合せ、世界観紹介 2012/7/26(木) やる夫 ルーク 水銀燈 レミリア 島津豊久 レイナ +10点 熊鍋 ifのやる夫は皇帝を引継ぐようです セッションログ ブランクシート